ある政治家は、初めて国会議員に当選したとき、自分を政治の世界に導いた5回当選議員の忠告を、今でも覚えていると言う。第一に政治に携わる者はカネを欲してはならない。第二に国会議員に満足せず、さらに大きな夢を持て。後輩議員は、その先輩議員の忠告を肝に銘じて実践に移したせいか、3回連続で国会議員に当選しては長官にも起用され、今は広域自治体の首長を務めており、野党の次期大統領候補者にまで名前が上がっている。
◆29歳で下院議員に当選した米国のケネディー元大統領は、新人の頃、下院議員としての生活にさほど魅力を感じなかった。共和党が支配していた下院で、民主党の新人議員としての影響力は僅かなものだった。議事堂から一番遠い所に位地する新人議員の事務室は「新入生の列(freshman row)」と呼ばれた。彼は後に新人議員時代を振返りながら「私は国会議員としてあまりにも未熟だった。私が国会議員になった時、何もかも知らないことばかりだった。数えきれないほど失敗を犯した。誤って投票したこともあった」と語った。
◆ケネディーは下院議員を、次に進むための足がかりと考えながら地道な努力を続け、1953年には上院議員に当選した。ところが、1年後「世界中で最も腐敗した職業は上院議員」という発言をする。上院議員らは選挙資金を寄付した人々を誘惑する傍ら、法案と予算をめぐってのかけひきに夢中だった。ケネディーは、腐敗したかけひきを遠ざけ、さらに高い公職への夢を育んで行った。ケネディーが、カネの前でも超然としていられたのは、莫大な財力をもつ父、ジョジフ・ケネディーがいたからでもあった。ケネディーは、カネに拘ることなく夢を育んで行った、政治家の成功神話と言える。
◆第17代国会は、新人議員の割合が63%と過去最大を記録している。ヨルリン・ウリ党は、当選者152人のうち109人が新人議員である。その分、意欲に満ちている。与党の新人議員らは国会の研鑚会合で、朴寛用(パク・クァニョン)国会議長の演説をボイコットした。ある2回当選の議員は「新米兵士の軍紀を正す軍紀班長が必要」と発言したために、新人議員から「もう一度軍紀云々すれば、噛み付いてやる」と言われる羽目に遭った。後輩に、政治家としてのあり方を教える先輩議員、おとなしく政治を学び、夢を育む新人議員が多いことを祈りたいものだ。先輩は、皆「改革」の対象となって行くのだろうか。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com