スランプからの脱出を告げる、貴重な勝利だった。
韓国テニスの看板スター、李亨澤(イ・ヒョンテク、三星証券)にとって今シーズンは、初めから試練の連続だった。2月の結婚を機に、新しい出発を誓ったものの、かえって成績不振に悩まされた。今年2月、シベルオープンの準々決勝に進出して以来、男子プロ(ATP)ツアー大会で4連続の1回戦敗退となった。デービス杯では、筋肉痛を伴なった風邪に悩まされ、ろくにプレーすらできなかった。先月には、幼い頃から自分を育ててくれた祖母を亡くした。世界ランキングが100位以下に落ち込み、選手生活に対する危機感すら感じられるほどだった。
そんな彼が、フランス・パリのローランギャロスで行われた、今シーズン2回目のメジャー大会となる、全仏オープン男子シングルスの1回戦で、奇跡のような逆転勝ちを収め、再起に向けた第一歩を踏み出した。世界ランキング123位の李炯澤は、3時間11分のフルセットに渡る接戦の末、世界ランキング46位のロビン・ソダリング(スウェーデン)を、3対2(0—6、3—6、6—3、6—4、7—5)で下した。この大会では、2年連続の1回戦敗退の末、初めて2回戦進出を決めた。2000年のUSオープンでベスト16入りを果した李亨澤は、4大メジャー大会で1勝以上の記録を収めた、初めての韓国人となった。
世界ランキングの下落で本大会への出場権を逃した李亨澤は、予選の決勝戦で敗れ、8連続メジャー大会出場記録がストップする危機を迎えた。ところが3日後、幸運のラッキールーザー(luckyloser、シード権者の欠場に伴ない、予選の決勝で敗れたものが本大会出場者となる)資格を獲得、本大会進出が決まった。
ドラマチックな逆転勝ちで自信を取り戻した李亨澤は、ワイルドカードで出場する世界ランキング99位のオリビエ・パティアンス(フランス)と、2回戦で対戦する。グラウンドストロークを得意技とするパティアンスは、今年全豪オープンでの3回戦進出が、メジャー大会で収めた最高の成績ということで、李亨澤にもチャンスはある。三星証券のチュ・ウォンホン監督は「炯澤は、最悪の状況から生き返っており、クレーコートでも様々な球質を駆使できるので、勝ち目は十分ある」と予想した。
お腹が見える原色のツーピースに、大きなピンクのイヤリング姿で出場したセレナ・ウィリアムス(米国)は、イベタ・べネソバ(チェコ)に、2対0(6—2、6—2)で完勝した。
金鍾錫 kjs0123@donga.com