行政首都移転問題は法律学界と法曹界でも厳しい議論を呼び起こしている。行政首都移転が「新行政首都の建設のための特別措置法」という法的な枠組みの中で進められており、これを阻止しようとする動きも同様に法的対応の形で行われているためだ。
▲大統領選挙結果を国民の追認にみなしても良いのか〓行政首都移転を大統領選挙の公約に掲げた盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補が大統領に当選したため、国民が行政首都の移転を承認したと考えるのが正しいというのが政府与党の見解だ。
これについて大部分の法学者と法曹人は反対意見を示した。許営(ホ・ヨン、憲法学)明智(ミョンジ)大学碩座教授は、「大統領の公約には複数の事項が共に含まれており、行政首都の公約はその中の一つに過ぎない」とし、「検証を受けたとは言い難い」と述べた。
▲国民投票は必要か〓国民投票は、国民が国の意思形成に直接参加できる最も基本的な国民の権利。政府と与党は、「憲法は首都をソウルにすると明示的に定めているわけではないため、法律を制定して行政首都を移転することができ、そのための別途の国民投票は行わなくても良い」と主張する。
しかし許教授は、「首都のような国の重要な象徴物を変更する際は、必ず国民の意思を問わなければならない」と述べた。
▲特別措置法の制定過程での問題点〓世論や専門家の意見を汲み上げる過程が省かれたことについても議論が高まっている。
匿名を求めた憲法学者のC教授は、「行政首都移転問題は専門家と利害関係者が真剣に集まって討論と協議を重ねなければならなかったが、大統領選挙公約で議論が始まったため捻じ曲げられた。参加型民主主義に最も充実でなければならない議論の対象が、権威主義的なやり方で進められている」と指摘した。C教授はさらに、「法律的な正当性を正すと、この部分が最も重要なポイントだ」とつけ加えた。
これについて政府と与党は、「法制定の過程で野党と十分議論を重ねており、与野党が同意したため、問題はない」と主張している。
▲法的要件を満たしているか〓許教授は首都移転に関する「母法」がない状態で、一種の手続き法と考えられる「特別措置法」だけでもって首都移転を推進するのは無理だと指摘する。特別措置法でいくつかの行政省庁を移すのはともかく、事実上の首都移転を推進してはならないということだ。
許教授はまた、「特別措置法第3条を見てみると、『国民世論を幅広く反映し、国民統合に貢献する義務がある』という定めがあるが、法のこうした部分が守られているかどうか疑問だ」と述べた。
▲首都移転、国民の基本権侵害はないか〓この問題は「特別措置法は違憲」と主張する憲法訴願と関連している。憲法裁判所法は、「基本権を侵害された者」だけが憲法訴願を提起できると定めている。
しかし、許教授は「首都市民としての恩恵は反射的利益に過ぎず、財産権保護の対象でないため、基本権侵害を主張するのは難しい」と述べた。C教授と大韓弁護士協会の金甲培(キム・ガプベ)法制理事も同じ見解を示した。
しかし、行政首都が移転された場合、多くの人の財産権、幸福追救権、住居移転と職業選択の自由など基本権が侵害されると見る見解もある。建国(コングク)大学の林智奉(イム・ジボン、憲法学)教授は、「直接的被害者になる可能性のあるソウル市民に自己防御の機会も与えないだけに、適法手続きの違反を理由に憲法訴願を提起することもできる」と述べた。
李秀衡 李相錄 sooh@donga.com myzodan@donga.com