「『敵』に対する敵対感と恐怖を植えつけていた韓国の小学校教科書は、今は北朝鮮の店で買い物をする北朝鮮の女性たちの写真を載せている。ソウルのある小学校4年生の教材には、川で隔たれたロミオとジュリエットが『悪い龍』の働きかけで結婚できないという内容が書いてある。川は非武装地帯(DMZ)であり、『悪い龍』は米国を象徴する」
米ニュース週刊誌タイムは21日付発行の表紙に、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が軍服姿で満足げに笑っている姿を載せ、「この人はなぜ笑っているだろうか」というタイトルのカバーストーリーを掲載した。
タイムは、△韓国内のイデオロギー教育の変化△周辺国の北朝鮮に対する態度の変化△核開発で得られた北朝鮮体制の安全強化などの要因で、今までの現状維持(status quo)状態が変わってきていると指摘した。北朝鮮に有利に働く周辺情勢が、金総書記を笑わせているわけだ。
同誌は、海外駐留米軍の再配置の検討(GPR)を受けた在韓米軍の削減に反対する東豆川市(トンドゥチョンシ)の空気を伝え、韓国社会の変化した雰囲気と韓米同盟のあり方を紹介した。
タイムは「東豆川市の住民は米軍の削減に反対しているものの、今韓国は北朝鮮を潜在的な友人やパートナーとして見なす『左派民族主義(leftist-nationalist)』大統領と政党の支配下にある」と伝えた。
タイムはまた「韓国の新聞は北朝鮮の厳しい実状を伝える代わりに、南北経済協力の前進にほとんどの紙面を割いている」と、5億6800万ドル(約6610億ウォン)がつぎ込まれた金剛山(クムガンサン)観光をその最たる例としてあげた。韓国の北朝鮮に対する態度の変化は、在韓米軍の削減の背景になっており、韓米同盟を緊張関係に追い込んでいるのだ。
タイムは、先月23日に訪朝した小泉純一郎首相が「北朝鮮は、前向きな動き方に重きを置いているように感じた」と述べたのも、北朝鮮の金総書記の口元を綻ばせた一因だと紹介した。
問題は、在韓米軍の動きが健全な韓米同盟によるものではないということだとタイムは指摘した。同誌は、「潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官の北朝鮮の核脅威に対する評価も、米国高官たちの立場よりは弱いものだ」と伝えた。
タイムは、李東馥(イ・ドンボク)元南北会談事務局長の話として「勝者は北朝鮮だ」と評価した。タイムは「これから金総書記の課題は今月末に開かれる第3回6者協議であり、米国はもはや彼を制止できない」とし「北朝鮮の独裁者・金正日はいつにもまして肩身が広い」と憂慮を表明している。
金影植 spear@donga.com