「Life is a cabaret(人生はキャバレーのようなもの)…Come to cabaret!(キャバレーにおいでよ)」。
16日午後ソウルの芸術の殿堂の地下練習場。ドアの隙間から耳慣れたメロディーの英語の歌詞が流れてきた。そっとドアを開けて入っていくと青い目の俳優たちが床に転びながら踊りと歌の練習に熱中していた。まるでアメリカのブロードウェイの練習場がそっくりそのまま引っ越ししてきたようだった。
ここは24日から大田(テジョン)をはじめ、ソウル、大邱(テグ)、釜山(プサン)を回る韓国公演ツアーのためにニューヨークから来韓したミュージカル「キャバレー」のブロードウェイチームの練習現場。「キャバレー」に出演した俳優を対象にオーディションで構成された同チームは韓国公演を終えた後、日本に行く。主人公のMC役とサリー役のバンス・エバリーとカトリーナ・ヨキーは「キャバレー」のエキストラからスタートしてアンダー・スターディ(主人公の代役)を経て主役として舞台に立つ実力派たち。俳優はすばらしい踊りと歌の実力を思う存分見せてくれた。
「キャバレー」は1966年にブロードウェイで初演されて以来30年近く愛されてきた作品。背景は1930年代のナチ統治下のベルリンのキャバレー「キットカット・クラブ」。物語を進めるナレーターはクラブのMC、キャバレー歌手のサリーと彼女の愛人である米国人の小説家クリフなどを中心にナチの狂風が吹き荒れる時代とそれに引き込まれていく小市民の人生を物語っている。
今回の来韓公演では映画「アメリカン・ビューティー」でアカデミー最優秀映画監督賞に輝いたサム・メンデスが演出をした1993年バージョンが披露される。メンデス監督は1930年代の暗鬱な政治状況に売春と麻薬、同性愛など退廃と享楽に溺れたキャバレーの雰囲気を絶妙に結合させ、楽しみとストーリー性が見事にあわさったミュージカルを作り出した。助演出者のスティーブン・クリアは「メンデス・バージョンには演劇的な要素が強化された点が特徴だ」とし、「観客は演劇も見てミュージカルも楽しめる、二つの楽しみを堪能することができるだろう」としている。
この日は最初から終わりまで実際の公演のようにリハーサルするラン・スルー(run—through)練習。1幕はキットカット・クラブを訪れたお客にMCと同僚の歓迎の挨拶で幕があがり、2幕は広い舞台でMCがお客に別れを告げる場面で終わった。俳優たちは始終「実戦」のように練習に熱中した。2幕の終わりの部分でクリフがサリーとけんかをしてピンタを食らわせる時は本当に「ピッシ」と音がするほどだった。
MC役のエバリーは1幕中間にダンサーと「マニー(money)」という歌を歌いながら、エロチックな踊りを踊るなど官能美と妖しげなカリスマで目を引いた。練習を終えた後、エバリーは「私の役は観客をミュージカルに引き込む案内人の役割だ」とし、「『キャバレー』は他のどんな作品より俳優の才能を引き出し発揮させる作品だけに、韓国の観客をも確実に虜にするだろう」と請合った。
○公演日程:△大田・忠南(チュンナム)大学チョンシムファ・ホール(24〜30日)、△ソウル世宗(セジョン)文化会館(7月3〜16日)、△大邱オペラハウス(7月20〜25日)、△釜山文化会館(7月27〜8月1日)1544−1555、1588−7890。
高美錫 mskoh119@donga.com