「イラク人全体と一部のテロリストを間違わないようにしましょう」。
金鮮一(キム・ソンイル)さんの死で受けた市民とネチズンの衝撃が、24日金さんが殺害される場面を撮った動画が一部のインターネットサイトに公開されたことで、イラク人に対する怒りに取って代わろうとしている。また、APテレビニュース(APTN)に配達された金さんの生前のインタビューの動映像も同日国内の地上波放送局3社などを通じて公開されたことで、追加派兵の賛否議論がさらに激しくなりつつある。
だが、一般のイラク人は平和を愛する人々であり、イラクに対する怒りの感情は誰にとっても望ましくないため、極端な感情の表出は自制すべきだとする主張が高まっている。
▲動画の公開〓24日午前8時ごろ(韓国時間)米国の残酷・猟奇サイト「0サイト」の「ミラーリング・サイト(mirroring site、ハッキングなどで資料損害防止のためにデーターのバックアップや二重保管用に作った別途の関連サイト)3ヵ所を通じて、約4分と5分ものの殺害動画2つが公開された。現在、同サイトは情報通信部の措置でアクセスが遮断されているが、一部のネチズンはすでに動画をダウンしファイルを共有していることが確認された。
警察は同サイトが22日から「金鮮一さんの殺害シーンを探しています」という広告を出したことから、イラクの武装グループが故意に動画を流出したか、同サイトの会社が他のイスラム国家のサイトを通じて購入した可能性が高いものと推定している。
この動画は拉致グループが「アラーは偉大だ」と話した後、金さんを殺害するシーンが撮られている。
▲派兵をめぐる議論、加熱化〓「イラク派兵反対非常国民行動」は24日も続いて金さんの死を悼み、派兵撤回を求める集会をソウル光化門(クァンファムン)にある教保(キョボ)文庫前で開いた。
サウジアラビアの建設現場で働いたことがある李ジェクォン(イ・ジェクォン、58)さんは、「イラク人が反対している戦争になぜ私たちが入っていって敵対しなければならないのか」と反問した。
だが、会社員の朴ホジョン(パク・ホジョン、25、女)さんは「今回の事件で従来の決定を覆すことはテロに屈したことになるだけだ」とし、「予定通り派兵しなければならない」と語った。
北朝鮮核阻止市民連帯など一部の保守団体は金さんの死に哀悼を表するものの、派兵は予定通り強行すべきだとの立場を重ねて表明した。
▲「こんな時こそ理性的に」〓主婦の朴ソンヒ(54、ソウル永登浦区汝矣島洞)は、「殺害動画は極端な反応を招きやしないかと心配だ。だが、怒りをこらえて、一般のイラク人とテロリストは分けて考えるべきだ」と話した。
多くのネチズンは「動画を見ないことにしよう」というキャンペーンも行っている。
大半の国内インターネット・ポータル・サイトは、「どうか私たち韓国人だけでも動画を見ないことにしましょう。金鮮一さんを二度殺すことになります」、「家族や友人たちが知ったらどんなに傷つくことでしょう。ファイルを手に入れても削除し、見ないことにしましょう」などの書き込みが寄せられた。
延世(ヨンセ)大学の金晧起(キム・ホギ、社会学)教授は、「動画は反イラク感情を促し、派兵をめぐる議論を拡大させる恐れがある」とし、「政府や市民団体、ネチズンは不必要な感情表現や相手を刺激する行動を自制するべきだ」との見解を示した。
趙梨榮 鄭世鎭 lycho@donga.com mint4a@donga.com