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[オピニオン]ギリシャ

Posted June. 29, 2004 22:48,   

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今日、欧州の地図を見る時、英国やフランス、ドイツを先に探すようになったのは、世界的な力の中心がそちらにあるからだ。しかし、中世までにしても事情は違った。ギリシャ、イタリア、トルコなどがある東地中海が名実共に世界の中心だった。オリエントとアフリカから入ってくる各種物産は東地中海の港湾都市に集まった後、欧州各地へ売られていった。欧州の西側はいまだ農業を営む辺境でしかなかった。ギリシャはこの東地中海の真ん中に位置している。年中穏やかな気候と交易に有利なギリシャの地理的条件は、最初から文明を花咲かせるのに適していた。

◆民主主義の出発点となる古代ギリシャには、150余りの都市国家があった。ポリスと呼ばれるこれらの都市国家はプライドが高かったものの、一つだけ短所があった。各国が優越感に溺れていて、お互いに協力することがなかった。ギリシャの歴史の中で、ポリスが団結したことは一回だけしかない。B.C5世紀、ペルシアの30万大軍が侵略してきたとき、アテネとスパルタを中心に連合軍を結成してペルシア軍を退けたことが最初で最後だった。ギリシャ人が他国に建設した植民地もお互いに背を向けるのが普通だった。

◆内輪もめが絶えなかったギリシャが強力な新生国のローマに地中海の覇権を握られたのは当然の歴史的な帰結だった。以後ギリシャは、ビザンチン帝国に続いてトルコの支配を受け、世界史の本流から遠く流されていく。ギリシャを訪問した英歴史学者のアーノルド・トインビーは、「偉大な文明を作り出したギリシャ人はどこに消えたのか」と言いながら想念にふけったと言う。

◆ギリシャが8月に開かれるアテネ五輪をキッカケに再び注目されている。映画『トロイ』はギリシャのミケーネ文明を描いたもので、国内で公演されたミュージカル『マンマミア』もギリシャが背景だ。「2004欧州選手権」でギリシャ代表チームが善戦しているのもギリシャへの関心を高めている。1830年に独立国家となったギリシャは、内紛と政争で不安な近現代史を綴ってきた。韓国がソウル五輪により韓国戦争でまみれた国家のイメージを一新したように、ギリシャも過去の自尊心を回復できるか興味深い。その鍵は歴史学者が指摘した通り、内部の協同と団結にあるのではないだろうか。

洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com