「トカゲが尾を切り捨てて逃げたところで、トカゲの疑いがなくなるわけではなく、かえってトカゲが現場にいたという明らかな裏づけになるだけだ」
「手がやったことを頭は知らなかったといわんばかりのものだ」
5日、いわゆる安風(第15代総選挙当時、国家安全企画部の予算を新韓国党の総選挙資金に転用した疑い)事件の判決公判で、裁判所はいくつかの重みのある言葉を残した。
裁判所は、問題になった秘密資金の本物の持ち主が誰なのかについて明確な結論を下してはいないものの、事実上「金泳三(キム・ヨンサム)元大統領の秘密資金」であることを認めている。
「独自の判断によって、ハンナラ党に選挙資金を支援しており、姜三載(カン・サムジェ)元ハンナラ党議員に会い、金を直接手渡した」という金己燮(キム・ギソプ)元安全企画部運営次長の供述に対し、裁判所は「これは手がやることを頭が知らないといわんばかりのものだ」と指摘した。裁判所は続いて「これは、究極的に金泳三元大統領をかばうための供述だ」と位置づけ、「金元大統領の責任」であることを強くうかがわせている。
裁判所は続いて金被告の行動を、上の者を保護し自分で責任を負って決着をつけようとするいわゆる「トカゲが尻尾を切り捨てる行為」と言い回し、「ところが、切り捨てられたトカゲの尻尾は、トカゲが現場にいたことだけを裏付けるだけだ」と皮肉った。
一方、姜被告は曲折の末、同日無罪を言い渡されたにもかかわらず、金元大統領の立場を意識したためか本音を現さないのに必至の様子。それに対し、姜被告の弁護士らは銀行に対する口座追跡など、ありとあらゆる手を使って無罪宣告を導き出しただけに、浮き立つ雰囲気。
姜被告の弁護士であるチョン・インボン氏は「姜氏は最後まで真実を口にしない気だったが、弁護士らが悪役をつとめ、金元大統領の関連事実をマスコミに公開した。当時、姜氏は非常に気を悪くしていたが、結局は私たちの本心を分かってくれた」と姜氏の立場を考慮した発言をした。
全芝星 verso@donga.com