参議院選挙(11日)が差し迫っている日本で、最近の政界の関心は、インドネシアのジャカルタに注がれている。決選投票にまで持ち込まれそうなインドネシア大統領選挙の結果が気になるからではない。北朝鮮に拉致され日本に帰国した蘇我ひとみさんが、北朝鮮に残した元在韓米軍兵の夫ジェンキンスさんと2人の娘に、9日ジャカルタで会うためだ。日本のマスコミは「ジャカルタ(発)『北風』」が、選挙戦の形勢を左右する最大変数になると伝えた。
◆参議院選挙戦は、年金法の強行採決や自衛隊のイラク派兵などの悪材料が重なり、自民党が苦戦を強いられる様相で展開している。現政権の支持率は、1ヵ月の間に10%以上も下がった。今回、新たに選ぶ121議席のうち、現在の自民党議席である51席を守ることさえ難しいという見通しが広がり、小泉純一郎首相の失脚を予想する分析に重点が置かれている。窮地に追い込まれた小泉首相は、蘇我さん一家再会イベントを最後の切り札とした。再会時期を選挙直前に早めようとする日本政府の計画に、北朝鮮も積極的に協力した。細田博之官房長官は、「北朝鮮の協力のお陰で予想より早まった」と異例にも感謝を示した。
◆小泉首相は、自民党総裁任期の06年9月までに日朝国交正常化に決着をつけたいという意思を明らかにしている。日本の経済支援が切実な金正日(キム・ジョンイル)総書記としては、パートナーが変わらない方が有利だと判断したかもしれない。そのような点で、「日本版『北風』」は、2度に渡って会談で顔を会わせた両首脳の合作品というわけだ。野党は「意図が不純なびっくりショー」と批判しながらも、初めて接する『北風』の威力がどの程度か、緊張の表情が歴然とうかがえる。
◆韓国の選挙の度にお馴染みのメニューとして登場する『北風』が、海の向こうの日本にまで吹くのを見れば、北朝鮮は選挙影響力に関する限り『強国』である。日本で效果を上げたなら、北朝鮮指導部は11月の米大統領選にも影響要因になろうとする衝動を抱くかも知れない。北朝鮮がブッシュ大統領の再選を望まないなら、核開発やミサイル実験で国際社会に紛争の火種を作らずに静かにしているのが、最上の戦略ではないだろうか。
東京=朴元在(パク・ウォンジェ)特派員parkwj@donga.com