ソウルと京畿道(キョンギド)の一部の市町村議会が、今年の財産税を減免する条例を次から次へと打ち出しており、すでに課せられている財産税を遡及適用する問題をめぐり、論争が広がっている。
これに対し、ソウル市と京畿道は賦課済みの財産税を遡及して減免するのは不法だという立場であり、該当の市町村に再議要求を勧告して受け入れられなかった場合、最高裁に訴訟を起こす方針であるため、基礎自治体—広域自治体間の法的争いに持ち込まれかねない。
ソウル陽川区(ヤンチョング)議会は最近、財産税率を20%減免し、今年からこれを遡及適用することに議決した。京畿道九里市(クリシ)議会と城南市(ソンナムシ)議会もそれぞれ6、7日に臨時会議を開き、財産税率を30%引き下げるものの、今年の財産税からこれを遡及適用することに決めた。
ソウル城東区(ソンドング)と中区(チュング)、龍山区(ヨンサング)もそれぞれ近いうちに臨時区議会を開き、財産税率の20%減免と今年の遡及適用を盛り込んだ条例案を話し合う予定だ。
これに対し、ソウル市と京畿道は直ちに該当自治体に自治体議会に再議を要求してもらうように勧告しているが、受け入れられる可能性は薄い。自治体議会が再議の要求を無視し、議決した場合、決定事項はそのまま確定し、これを無効化するためには最高裁に違法訴訟を起こすしかない。
ソウル市の李サンハ税制課長は「事前に財産税額が予想できたにもかかわらず、通知書が発布されてから、これを遡及して変更しようとするのは法的安定性を阻害する。原則的にこれは不法だ」と指摘している。
財産税の引き上げと関連し、ソウルと京畿道の住民が提起する集団異議申し立ても大きく増えている。
8日現在、ソウルと京畿道での財産税関連の異議申し立て件数は、約4万件に上っていることがわかった。ソウルは龍山区3500件あまり、中区2500件あまり、陽川区1700件あまりなど、計1万件あまりに上る。京畿道の場合は、龍仁市(ヨンインシ)が2万8000件あまり、城南市盆唐区(ブンダング)が1300件あまりなどだ。
財産税の納期日の最終日は2日だが、異議申し立ては財産税の納付通知所を受け取った日から90日以内に該当自治体で行うことができる。
棄却決定が出されれば、再び90日以内に行政自治部(行自部)や監査院などに審査請求を提起することができ、このような過程を経ず、直ちに行政訴訟を起こすことも可能だ。
ソウル蘆原区(ノウォング)と城南市盆唐区の場合、財産税が急騰した一部のマンション団地の住民らが財産税の返還関連行政訴訟を準備しているものといわれる。
一方、行自部はより専門的に財産税など、地方税の課税評価を専門化させるため、仮称「地方税課税評価院」を設立する方策を進めていると8日、発表した。
行自部の関係者は「各マンションの建築原価に国税庁の基準時価を一部考慮して、財産税を課していることから、個別住宅ごとの100%精密な課税を行うことは難しい。人材と予算、専門性を兼ね備えた別途の財産税専従機関を設ける方策を視野に入れている」と説明している。