イラク戦以降、頻繁に対立してきた米国と欧州連合(EU)が、対中武器禁輸措置の解除をめぐって、再び神経戦を繰り広げている。韓国政府も10日「高句麗(コグリョ、B.C.37〜A.D.668)歴史をわい曲した問題で、韓国と歴史戦争を開始した中国が、先端兵器を買入れる場合、韓国としては負担にならざるを得ない」とし、神経を尖らせている。
▲中国、先端兵器で武装?〓対中武器禁輸措置は1989年の天安門事件当時に遡る。当時、米国とEUは「中国政府が画期的な人権改善の措置を取らなければ兵器を売ることができない」と宣言した。15年が過ぎた時点で、EUは輸出再開のカードを取り出した。世論作りに出たフランスのシラク大統領は、最近「(中国に対する)武器禁輸措置は、現実の国際秩序に符合しない」とし、輸出再開の意思を明確にした。
現在、中国の国防費(非公式のもの)は年間700億ドル(約8兆円)台にのぼり、世界第3位のレベルだ。だが「最先端」とはかけ離れているロシア製の兵器が主要戦力を成している。EU加盟諸国が軍事費を削減し、頭を悩ませていた欧州の軍需会社としては、魅力的な規模だ。しかし、パウエル米国務長官は「中国の人権事情が改善されたか」とし、時期尚早であることを明確にした。
EUと中国は今年12月8日、EU議長国、オランダのハーグで開かれる第7回定例首脳会談で、この問題を協議し、結論付ける予定だ。しかし、主要政策の決定は全会一致で採択するというEU憲法を考慮した場合、現在、少なくとも4カ国が禁輸措置の解除に反対する状況で、成功するかどうかは予測できない、との見方が出てきている。
韓国政府は、この懸案を、在韓米軍の再編との観点から注視している。在韓米軍が迅速対応軍に再編された後、地域の安定軍として役割を果すようになれば、中国・台湾間に対立がある際、在日米軍とともに投入されるはずであり、その場合、韓国軍が間接的に介入する余地があるからだ。
▲米国−EUの隔たり〓ブッシュ政府がスタートして以降、米国とEUは、冷戦時代とは異なり、頻繁に「不協和音」を作り出した。
米国は力を前面に掲げた外交政策を追求し、EUは米国の独歩体制に対抗する動きを見せてきた。米新保守主義者(ネオコン)の代表的な理論家、ケイガン元国務省副次官補は「米国と欧州が同じ声を出すだろうとの期待を捨てるように」と主張した。国際問題に介入できる能力を持っている米国は介入しており、国際社会の対立を解決できる能力を失った欧州は傍観だけしていた、という説明だ。
田奉根(チョン・ボングン)元統一部政策補佐官は、対中武器禁輸措置の解除をめぐる議論と関連し「米国は中国をけん制対象に考えているが、欧州は、中国と協力することで、国際社会の秩序維持が可能だ、との見解を持っており、経済実利主義も視野に入れている」と分析した。
金昇鍊 srkim@donga.com