Go to contents

滅びる国…栄える国 カギは「ビジョン」

滅びる国…栄える国 カギは「ビジョン」

Posted August. 11, 2004 22:20,   

한국어

フィリピンのマニラにあるアジア開発銀行(ADB)を訪れる韓国人たちがよくする質問がある。「ソウルにある文化観光部、在韓米大使館の建物とよく似ているが、何か事情があるんですか」。

そのときごとに、ADBの関係者たちは「ソウルにある二つの建物はいずれも数十年前にフィリピンのエンジニアたちによって建てられた建物だ」と紹介する。実際、フィリピンは1960年代まではアジアで日本に次いで豊かに暮らしていたし、韓国より「進んだ国」だった。しかし、今はろくな産業基盤がなくて、外国に出稼ぎに行った労働者たちから送られるお金に依存している国に転落した。

▲国の運命を分ける「ビジョン」〓2002年フィリピンの1人当りの国内総生産(GDP)は965ドル。1980年の671ドルとそれほど変わらなかった。

一時「オイル・ドル」を武器に威勢をふるった中東諸国も墜落している。

国際通貨基金(IMF)の統計を見れば、1980年の場合、1人当りのGDP基準で世界10位圏の国家のうち、中東国家が4カ国も含まれていた。1、2、3位が中東国家だった。

しかし、22年後の2002年の結果は一変した。10位圏に属した国はカタールが唯一だ。世界最大の産油国であるサウジアラビアは1人当りのGDPが同期間1万5319ドルから8544ドルに墜落した。

一方、シンガポールとアイルランドは対照的だ。まともな資源がないシンガポールの1人当りGDPは1980年の4904ドルから2002年には2万1162ドルに急上昇し、「一流国家」になった。

欧州の貧国だったアイルランドも、1950年代末にショーン・レマスが政権を握った後「経済構想」を力強く推進し始めた。「過去より未来がもっと重要だ」との認識のもと、国民の反対を押し切って『昨日の敵』英国と仲直りして、外資誘致に力を尽くした。このような努力の結果、アイルランドの1人当りのGDPは3万1333ドル(2002年基準)で、英国を追い越した。

専門家らは「国の興亡盛衰」を分けた核心要因として「未来に対するビジョン」があるのかをあげる。

フィリピンは長期政権によって腐敗したマルコス、現状維持に汲々としたコラソン、ポピュリズム政策を乱発したエストラダ政権を経て、アジアの優等生から劣等生に転落した。一方、シンガポールは李光耀という卓越なリーダーが未来に対するビジョンを打ち出して、リーダーシップを発揮し、一躍一流国家に飛躍した。

最近『10年後の韓国』というベストセラーを通じて、韓国社会の危機を警告した孔柄鋹(コン・ビョンホ、経済学)博士は、「失敗した国の主な特徴は未来に対するビジョンを示すことができずに『お山の大将』式の考え方が強いという点」とし、「たとえば、中東の時代精神が引き続き過去志向的かつ内部志向的で『米帝国主義の打倒』から脱することができない限り、中東の再起は不可能だろう」と分析した。

▲企業も未来を準備しなければ生き残れない〓米国のメディアグループであるダウ・ジョーンズ社は米国の超優良企業群にダウ・ジョーンズ指数の銘柄を選定する。

1896年に初めて選定された「第1世代」銘柄12のうち、現在までダウ・ジョーンズ指数の銘柄(現在は30銘柄で構成)に残っている会社は、ジェネラル・エレクトリック(GE)一つしかない。残りは脱落した。倒産して消えてしまった会社も多い。未来が読み取れない会社は淘汰されるしかない「企業生態系」の鉄則を見せてくれる。

ミシンの代名詞であるシンガーは、一時期ニューヨークに47階建の社屋を構えるほどの一流会社だった。しかし、アパレルの登場という時代の流れを乗り越えることができず、結局1999年、裁判所に破産申請を出して150年の歴史を締めくくらなければならなかった。

▲歌手BoAの成功が示唆するもの〓歌手出身の事業家で「SMエンターテイメント」の筆頭株主である李秀滿(イ・スマン)氏。

李氏は1998年、歌手志望生の兄のオーディションについて来ていたBoA(当時小学校5年生)を見て、まさに彼女の「未来価値」に気づき、その場で抜擢した。その後BoAは2年間をダンスと歌の稽古付けになり、日本では6ヵ月間現地のアナウンサーから日本語の個人レッスンを受けた。そのBoAは、今は日本で1000億ウォンを超える売上げを記録する「1人企業」に成長した。

音楽評論家の任珍模(イム・ジンモ)氏は「エンターテイメント産業は特性上、時代の流れの中で未来に対する眼目を育てることが重要だ」とし「未来へのビジョンの大切さは個人と企業はもちろん、国家経営においても変わらないだろう」と強調した。