椿が赤い色のきれいな春が過ぎて、広い青麦畑が夏を呼んだ後、晩夏の塩田には塩が白く広がり眩しい。まもなく秋なら赤い相思花が色染まる所。
四季折々美しい自然を誇る全羅北道高敞郡(チョンラプクド・コチャングン)に今頃行くと、塩田で塩を直接採取する異色体験や海辺で耕運機に乗って回る、干潟サファリを楽しむこともできる。
●塩花が輝く村
30℃を上回る蒸し暑い日がむしろありがたい所がある。日差しが熱いほどきらきら塩花が咲く村。他ならぬ高敞郡海里面(ヘリミョン)トンホ里だ。「三養社(サムヤンサ)塩田」として知られているこちらは、一時期、天日塩で有名だった時代には110万坪の広い規模だったが、輸入塩などに押されて最近は16万坪に減少した。現在は村の住民が分譲を受けて運営している。
村の入り口に入ると、広く広がった塩田が碁盤のように四角く並んでいて、訪れる人を迎える。あちこちにこれ以上使わない廃塩田には粗悪な木で作った塩倉庫が残っており、人の背より高く伸びた葦がぎっしり立ち並んでいて異国の風景を催す。数十年前の姿が残っているこちらは最近、放映されているドラマ「英雄時代」の背景となっている。
●塩を一握り採取するまで
普通海水で塩を一握り採取するまでは晴れの日を基準に5日間なんと20段階の塩板を通さなければならない。一番上の塩板から緩やかな傾斜を成して最終的に塩を得るまで20個の塩板が列をなしている。
海水がある程度蒸発した塩板には白い塩の粒子がふわふわ浮かんでいる。濃度がもっと濃くなれば粒子が大きくなりながら白い姿で底に沈む。素足で入ったら足首が熱くなる。足を運ぶ度に足裏の下に塩の粒子がかさかさ踏まれる感じが妙だ。木でできた鋤で底を取るとかなりの塩が出る。
そのように何回か繰り返えしたら、いつのまにか白い塩が一杯。塩板1ヵ所に積もった塩がまるで冬の雪だるまのように日ざしに輝く。汗を流して塩を掻く楽しさに浸っていると熱い感じの水がむしろ冷たく感じる。
このように塩の採取過程を直接体験してみると、「一粒の塩も惜しんで食べなくちゃいけない」という気持ちが自然に湧いてくる。こちらでは塩を採取して、1kgまで家に持って行くことができる。
●耕運機で楽しむ干潟サファリ
炎天下の中で苦労してから、近くのトンホ海水浴場に出て涼しい気分を楽しんでみよう。長さ1kmに至る広い白砂浜に沿って数百年もの海松の森が壮観だ。傾斜が緩くて水深も浅く安心して水遊びを楽しむことができる。
トンホ海水浴場では、耕運機を改造して作った三輪車に乗って水が引いた海辺を思いきり歩き回る干潟サファリ体験が風変わりだ。耕運機に乗って干潟に入って天然の泥を全身に塗るか、海岩や防波堤に棲息する干潟生命体を観察する。貝捕りや海老を捕ることもできる。体験時間は約3時間。
水が引けば2kmに達する広い干潟が現われる。その広い干潟を音がする耕運機に乗って歩き回る楽しみがいい。耕運機の動きによって、小さな動きで砂の穴中に隠れてしまう干潟の上の小さな生命体たちが可愛い。
干潟サファリ体験が終われば夕方頃。こちらは西海(ソヘ)の夕日が美しいことから、夕日(ヘノミ)村とも呼ばれる。名前のように夕焼けが素敵なこちらで赤く染まった海辺を歩く気持ちも最高。お問い合わせは063—564—2022
◆文〓チェ・ミソン 旅行プランナー tigerlion007@hanmail.net
◆写真〓シン・ソクギョ フリーランサー写真作家 rainstorm4953@hanmail.net