政府与党内部から「過去の歴史問題より経済立て直しが重要だ」という声が高まっている。与党ヨルリン・ウリ党の金爀珪(キム・ヒョクギュ)常任中央委員は党会議で、「われわれは歴史立て直しに熱心だが、国民世論は国政の優先順位を間違えて付けていると見ている」と指摘した。李憲宰(イ・ホンジェ)経済副首相と「386世代」議員たちとの昼食会でも、「(経済再生のため)内需低迷の克服に力を集中すべきだ」ということに意見が一致したという。それなのに多数の国民の目には政府与党が経済は後手に回したまま、過去の歴史にのみ縛られているように映っている。
金雨植(キム・ウシク)大統領秘書室長も記者懇談会で、「最近一番よく言われるのが『食べて暮らす問題を解決してくれ』という話だ」とし、これを大統領にも伝えていると述べた。これぐらいになったら、大統領府、与党、政府が一体となって経済立て直しに乗り出し、こうした姿が国民の不安を和らげて、消費と投資心理を回復させてもおかしくないのだが、事情は少しも改善の兆しを見せていない。
問題は信頼だ。経済が重要だという話をしたのは一度や二度ではない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領から今年の初の記者会見で、「最高の福祉は働き口の創出だ」と述べた。李海瓚(イ・ヘチャン)首相が「経済活性化と内需回復が最も大きな国政懸案だ」と述べたのが今月初めだ。しかし、変わったのが何なのか。
盧大統領は8・15慶祝演説でほとんどを過去史の究明に割り当てた。国家機関みずからが過去の誤りの告白を促したことで、関連省庁では「告白」のやり方をめぐって頭を悩ませている。与党の新議長は野党を「加害勢力」に規定したことで、過去の歴史をめぐる論争を政治攻防に格下げさせた。こうしておきながら口さえ開ければ経済であり、民生であるから、誰がこれを信用できるものか。
過去の歴史問題から果敢に脱しなければならない。与野党が独立機関で取り扱うことで合意しただけに、専門家の手に任せて、経済に専念していることを行動で示すべきである。「民生への専念」がまた空念仏に終っては、国民の失望と憤りを耐え切れなくなるだろう。