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[オピニオン]高英姫とフランス病院

Posted September. 02, 2004 22:22,   

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北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の妻、高英姫(コ・ヨンヒ)が3ヵ月前にフランスで死亡したという。北朝鮮が発表していないため「確認された」と断定できないものの、多くの情況から考えてデマではなさそうだ。事実上ファースト・レディの役割を務めてきた人物の死を巡り、外部でいろいろな報道が出ているにもかかわらず、何の言及もしない北朝鮮は、やはり秘密の多い国である。51才と若くしてこの世を去った衝撃が大きいためか。高英姫がフランスで死亡したことも謎である。

◆糸口はある。高英姫に先立って、人民武力部長だった呉振宇(オ・ジンウ)が1994年にフランスで肺がん治療を受けた。彼は革命1世代で、金日成(キム・イルソン)主席に続く権力序列2位にのぼった大物だった。彼が危篤だという事実を隠したかったせいか、北朝鮮はフランス行きを密かに行なった。フランスも、最後まで語らなかった。しかし、韓国特派員の粘り強い取材で、呉振宇の訪仏診療は始まった日に全世界に伝えられた。ラエネク病院で1次診療を終えた呉振宇が乗用車に乗り込む姿までカメラがとらえた。

◆北朝鮮の高官は、なぜフランス病院なのか。まず、フランスの医療技術を高く評価しているのだろう。ラエネク病院は、世界的な肺がん専門病院である。高英姫がどの病院で治療を受けたのかは分からないが、最高レベルの医療陣に会ったことは確かであろう。二番目は、徹底的な秘密の維持だ。呉振宇の場合は失敗したが、今回は完璧に成功した。最後は、非友好的な国家の高官の治療を容認するフランスの寛大な政策である。湾岸戦争後、当時イラクのアジズ副首相を秘密裏に入国させて治療した事実が明らかになるや、フランス政府は「人道主義による措置だった」と釈明し、国民はそれ以上問題視しなかった。

◆高英姫の死亡が関心を集める理由は、北朝鮮支配層の今後の行方のためだ。金総書記の長男である正南(ジョンナム)を産んだ成恵琳(ソン・へリム)は、ロシアのモスクワに安置された。しかし、高英姫の遺体は平壌(ピョンヤン)に運ばれ、金総書記の家族墓地がある万景台(マンギョンデ)に安置されたという。そのため、高英姫の実子・正哲(ジョンチョル)が後継者に近くなったという推測も出ている。後継者構図を悩んで、北朝鮮が高英姫の死を隠すこともあるはずだ。我々にも好奇心以上の意味を持つ観測対象である。

方炯南(バン・ヒョンナム)論説委員hnbhang@donga.com