盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の国家保安法廃止発言に対して、法曹界と市民団体は食い違う反応を見せた。
法曹界は概して「大統領として自制すべき発言だ」という反応を示した。一角では、最近相次いだ憲法裁判所と最高裁判所の判決が、大統領を刺激したようだという見方もあった。
▲現職法曹界〓ソウル最高裁判所のある部長判事は、「大統領が『法理的に話すのではない』と言ったことは、憲法と法律によって職務を遂行すべき大統領としては、すべきでない発言だった」と批判した。
そして、「現行体制の最も大きな受益者と見られる大統領が、この体制を維持してきた法を悪法とするのは自己撞着だ」としながら、「議会を掌握した大統領が、司法府の意見を無視して自分の所信どおりにすると言うかのようで、絶望を感じる」と話した。
ソウル中央地検のある幹部も、「政治的考慮のために後で後悔することが生じてはいけない」と強調し、ある検察公安幹部は、「大統領の発言は、法の空白があってはならないという面で納得し難い」と指摘した。
しかしソウル最高裁判所の他の判事は、「大統領として十分にできる発言だ」としながら、「実際、国家保安法は変わるべきであり、究極的には国会の論議を経て決定される問題だ」と話した。
▲在野法曹界〓「憲法を考える弁護士の会(憲弁)」の李承煥(イ・スンファン)弁護士は、「古き遺物を廃棄すると言うが、廃棄というのは用途がない時に使う言葉だ」としながら、「いま国家保安法を無くすことは、刀を鞘におさめるのではなく、刀を壊そうということだ」と批判した。
一方、大韓弁護士協会の金甲培(キム・ガプベ)法制理事は、「南北関係の変化などを考慮して廃止は妥当であり、国家保安法がなくても国家安保に支障はないだろう」とし、「司法府はイデオロギー的な接近や冷戦的思考を捨てて、未来と長い歴史という大きな枠組みで見なければならない」と話した。
▲市民団体〓団体の性格によって、盧大統領の発言に対して相反する立場を表した。「正しい社会のための市民会議」の趙重根(チョ・ジュングン)事務処長は、「いまだ南北が休戦ラインで対峙する状況で、国家保安法の廃止は一方的に韓国だけがかんぬきを取り払うようなものだ」と話した。
一方、参加連帯の金起式(キム・ギシク)事務処長は、「国家保安法の廃止は、全市民社会がこれまで地道に取り上げてきたもので、南北の和解と協力の時代に必要な措置だ」と評価した。
申水晶 woogija@donga.com crystal@donga.com