ロシアでの学校人質テロを主導した勢力はチェチェン反軍で、イスラム団体の加わっていたことが明らかになってきた。キリスト教国家のロシアとは違って、イスラムを信じるチェチェンがイスラムテロ団体と宗教的に結束したものだ。私たちの脳裏にイスラム国家はテロ、貧困、混乱など否定的なイメージだけが烙印されている。しかし、イスラムが発現した7世紀から17世紀まで、世界で一番強くて豊かな地域はイスラム帝国だった。彼らは強力な軍事力を土台にして交易を掌握し、科学と芸術を先導した。
◆彼らの目に西欧人は「西側国境の彼方に住む未開人」だった。19、20世紀、西欧が科学技術の発展を通じて世界の主導権を握った後、イスラム世界は急速に没落の道を歩むようになる。200年以上の長引いている低迷の中で、イスラム内部でも自己反省の動きが出始めている。イスラムの有識者たちはイスラム世界の根強い問題点を「ほかの人に責任をなすりつける姿勢」と分析している。イスラム社会が立ち遅れた原因を自分の過ちではなく、欧州の帝国主義や米国の覇権主義のせいにしてしまうということだ。
◆もちろん外部の要因もなくはないが、「人のせい」は簡単に責任を回避できる方法だ。イスラム勢力のテロは外部の敵に向かう憎悪と憤りの表出のわけだ。問題はこうした方法は根本的な解決策にならないという点である。チェチェン反軍は「独立」と「抑圧からの脱皮」という名分を持っているが、だとしてもテロが続けば、苦しめられて犠牲になる側は何の罪のない市民になるだろう。
◆テロの非人道性はテロが終わった後も、いつまでも被害者を苦しめることだ。医学的に「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」という病名はもう慣れた言葉になってしまった。テロにあった本人や家族が衝撃によって、数十年の歳月が経っても、悪夢と幻聴のような精神的苦痛に悩まされる症状だ。今回のテロで人質に捕られた幼い生徒たちが、早くも恐怖と不安を訴えているのが象徴的な例である。ほとんどのテロがイスラム勢力によって行われている現実の中で、テロの根絶はイスラム諸国の復活とも直接的なつながりを持つ。これに向けての世界共同の努力が必須である。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com