北朝鮮が4日、民族和解協議会の名義で「南北対話を再開するには、国家保安法を廃止しなければならない」と要求し、保安法存廃論議はさらに複雑な様相を帯びるようになった。北朝鮮の要求はむろん根拠がない。一言で「韓国でも共産党活動を容認しろ」というものだが、対韓赤化統一路線が明示された労働党規約はそのままにしてこのような要求をすることは、道理に合わない。内政干渉のみならず、論議に便乗して「南南」葛藤を煽ごうとする底意までうかがえる。
にもかかわらず盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領に続き鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官まで、「廃止が政府の立場だ」と述べた。廃止が時代の流れなら廃止することもできるが、重要なことは廃止かどうかではない。「保安法と労働党規約の関係」である。大多数の国民は、保守か進歩かを離れ「保安法を変化させるには、反対の側にある北朝鮮の労働党規約にも同様の変化がなければならない」と長く信じてきた。そのような関係をこのように放棄してもいいものか。
鄭長官は「(韓国)内部の問題であるだけに(労働党規約と)関係づけることは望ましくない」とし、「6・15首脳会談で保安法と党規約に対する非公開論議があったようだ」と述べた。納得し難い。北朝鮮にこのように寛大だった歴代政権があっただろうか。
鄭長官は、6・15会談で関連づけの論議があり、韓国が保安法を廃止すれば北朝鮮も労働党規約を手直しするようなニュアンスを漂わせたが、説得力がない。労働党規約は北朝鮮の憲法に優先する。党優位の国家としての北朝鮮のアイデンティティがここに出ている。北朝鮮がこれを改正する可能性は1%もないというのが、専門家たちの共通した見解だ。
大統領や長官は廃止を主張する前に、関連づけ問題に対しても深く考えるべきだ。少なくとも北朝鮮に対して同レベルの党規約改正を要求すべきだった。このために、第2回南北首脳会談を成功させるために、国家保安法を廃棄しようとするのではないかという言葉まで出るのではないのか。
李ジェホleejaeho@donga.com