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[オピニオン]韓国映画界の異端児

Posted September. 13, 2004 22:02,   

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個人的には金基徳(キム・ギドク)監督の映画があまり好きではない。しかし、世界3大映画祭であるカンヌ、ベルリン、ベネチア国際映画祭のうち2映画祭で、同じ年に2回も監督賞を受賞したのは驚くべき快挙だ。国内外の名門大学を卒業したそうそうたる監督が支配している昨今の韓国映画界で、金監督は小学校卒業という学歴に、工場労働者出身の「下流人生」だ。また、5億ウォン前後の低予算で映画一本を2週間で完成させる、韓国映画界の異端児である。

◆名門大を出たり、海外留学の経験がある監督の中には、早老してしまう者が多い。学歴や人脈などで絡んでいる批評界やマスコミから持ち上げられてうぬぼれやすいからだ。ベルリン映画祭の授賞式で金監督が敬意を表した林権沢(イム・グォンテク)監督もいつか「いい家柄の学歴の高い人には良い映画が作れない」という趣旨の話をしている。世界映画史に残る傑作は、実は主流の人生よりは非主流の人生から生まれたケースが多い。

◆今年初め、金監督が『サマリア』でベルリン映画祭で韓国人としては初めて監督賞を受賞して帰国した時、監督協会が主催した帰国祝賀パーティーは意外と静かな雰囲気だったという。出席した顔ぶれはほとんどが元老映画人で、人気監督や俳優は見当たらなかった。正直、国内の主流の映画人たちさえ、金監督を「内の者」扱いをしていない。非主流として、自分の映画にこだわりを持って集中してきた金監督は、むしろそのような孤立や偏見によって2回も世界から認められることができたのでは。

◆「予言者も自分の故郷と家では尊敬されない」という。イエスが故郷であるガリラヤに戻って知恵と能力を披露したが、「大工の息子」云々といって信じようとしない人たちに話した言葉だ。中国の大禅師である馬祖(709〜788)も同じだった。馬祖が錦を着て故郷に帰り、歓待を受けても、幼時の馬祖を覚えているある老婆は「偉い人が来たと思ったら、何だ、農機具屋の馬家の二男か」と白けた反応だった。馬祖は、故郷というのが気軽く帰れるようなところではないことに気づく。金監督が自分の国でこれ以上孤独な存在にならないよう祈りたい。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員