二人の宗教指導者が国家保安法廃止に対して反対意思を表明した。金寿換(キム・スファン)枢機卿は「改正する必要はあるが、廃止は早い」としており、曹渓宗・総務院長の法蔵和尚は「過去のように人権蹂躙に使わなければいいじゃないか」と話した。二人の宗教指導者はそれとともに国家安保と国論分裂を心配した。数日前、元老たちによる「時局宣言」とともに、二人の指導者の国家保安法廃止反対は多数の国民の憂慮を反映していると考えなければならない。
実際、多くの世論調査の結果、国民の70〜80%は改正であれ維持であれ、国家保安法体制の存続を望んでいる。国家保安法廃止を党方針に決めて推し進めているヨルリン・ウリ党は、このような世論の流れに当惑している雰囲気だ。昨日開かれた同党の企画諮問委員会でも世論と党方針の間でこれといった解決策を見出せず、悩み続けたという。しかし、戸惑っていたり悩んでばかりいるようなことではない。世論に従い「廃止」の党方針を調整すれば良い。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が国家保安法廃止を主張してから、国は一日も静かな日がない。与野党の対立が極端に走り、市民・社会団体は賛否に分かれてお互いに声を高めている。街頭での署名運動や大規模集会も予定されている。まるで去年春の弾劾政局を見るようだ。
このように対策も打てない状況が続いてはならない。国論分裂を防ぐためには与野党が合意を見出さなければならない。よくみれば、与党とハンナラ党の主張は法の「包装」をどうするかに差があるだけで、「中身」ではいくらでも折り合いができると考える。
例えば、憲法裁判所の合憲判決を受けた賞賛・鼓舞及び利敵表現物の所持罪などは存続させるがより厳しく適用するようにし、拘束期間の延長条項など人権侵害の可能性があって違憲判決を受けた条項は修正すれば良い。国家保安法の象徴的意味を活かしながらも、毒素条項は廃止するレベルで接点を見つけることができるだろう。現時点では国家保安法を部分改正して維持することが望ましい解決策だ。