政府が韓国の各企業の経営権不安、企業活動の效率性と生産性低下をあおったとしたら、それは経済の立て直しに役立つのか、経済破綻に近いのか。
三益(サミック)楽器がヨンチャン楽器を買収合併しようとすると、公正取引委員会は独・寡占問題を理由に不可判定を下した。それから12日後の21日、ヨンチャン楽器は最終不渡りを出した。公正取引委員会はヨンチャン楽器の不渡り可能性をある程度予想していたという。
国内のピアノ産業は、独・寡占という物差しだけで構造調整に歯止めをかけてもいいような状況ではない。構造調整が延ばされ過度の競争が続けば、国内業界は共倒れする恐れが大きい。それなのに公正取引委員会が偏った目標にこだわって、硬直な政策を運用していることをみると、国家経済運営の一軸を任せてもいいのかという疑問を抱かざるを得ない。ひいては公正取引法の改正案を推し進める行動は、この国の産業主権まで揺さぶるのではないかと心配だ。
三星(サムスン)電子は公正取引法の改正案がそのまま施行されれば、外国人が経営権を奪おうとしても、これといった手を打つことのできない内部検討報告書を作成したと言う。公正取引法の改正で金融系列会社の議決権限度が減れば、李健煕(イ・ゴンヒ)会長一家とグループ各系列会社の議決権が外国人10大株主より7%も不足だというのだ。
支配構造が公正取引委員会の気に入るにせよ入らないにせよ、三星電子は先端技術力、売り上げ、輸出、認知度、収益性などで韓国産業を牽引する代表企業だ。このような企業が外国人の手に落ちる危険を甘受してまでも「議決権行使」を強行しようとするなら、「企業はまさに国」という盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の言葉はどうなるのか。
アジア開発銀行(ADB)は最近、「韓国の改革政策焦点が、徐々に財閥の透明性向上や分配改善など、誤った方向に合わせられている」とし「政策の信頼を取り戻して投資を回復させるためには、政策の焦点を経済的效率性と生産性に合わせなければならない」と指摘した。公正取引委員会と与党がこのようなアドバイスに耳を傾けずにいるのなら、国民にやがて、誰のための政府で政権なのかを、深刻に問われることになるだろう。