長寿と富貴は人類誕生以来の願いだった。長寿が必ずしも富貴を伴うわけでもなく、富貴が長寿を保障するわけではないが、普遍的に長寿は富貴より尊い祝福と見なされる。世の中のあらゆる富貴栄華を享受し、毎日山の幸・海の幸を味わった中国の歴代皇帝300人余りの平均寿命が36.7歳に過ぎないのだ。いかに信心深いキリスト教徒であっても「いますぐ天国に行きたいか」と聞かれたら、ためらってしまうという。
◆長寿の基準は時代とともに変わってきた。旧約聖書の創世記によると、最初の人間であるアダムは930歳まで生き、他の人物も数百年を生きたと記録されている。しかし、2000余年前、古代ローマ時代に生まれた子供の期待寿命は23歳に過ぎず、1850年には40歳程度だった。韓国人の平均寿命も1960年52.4歳、1975年63.8歳、1985年68.4歳、1995年73.5歳、01年76.5歳へと長くなった。このため、60年代には盛大な還暦パーティが普通だったが、最近は古希宴の招待状を送ることも失礼とされている。
◆長寿の秘訣も様々だ。長年、人間の生死は天の司ることだという考え方が一般的だったが、科学の発展により、遺伝的な要因と摂生、労働と小食、空気と水など生活環境にかかっているという見解が支配的になった。「亀、鯨など長寿動物は皆呼吸が長いことから、寿命は「息の長さ」と比例し、人間は統計的に1200kL以上の酸素を吸い込めば死んでしまうため、なるべく息を少なくすれば長生きできる。」という変わった主張もある。
◆ソウル大医科大学の朴サンチョル教授チームが老人の日(2日)を控えて全国の100歳以上の長寿老人1296人を調査・分析した結果が面白い。要するに、「勤勉で食べ物の好き嫌いをせず、前向きな考え方をしてきたのが長寿の秘訣だ」という。息子と嫁あるいは孫と一緒に暮らして円満な家族関係を維持している点も特記に値する。一方で、定年がますます早まり、家族解体が一般化している現実を思えば、長寿が祝福ではなく呪いになっていくのではないかという懸念も拭えない。
吳明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com