◆映画マニアのための推薦作
▲真冬の夜の夢（Midwinter Night’s Dream、２００４年、セルビア・モンテネグロ）〓２００４年冬のセルビア。ラザルは１０年ぶりに自由を得て故郷に帰って来る。しかし、空いていた彼のアパートには、ボスニア難民の母ヤスナと自閉症患者である娘ヨバナが無断で入って住んでいる。ラザルは行く所のない親子を無視することができず、結局彼らと一緒に暮すようになり、三人は特別な家族関係を作っていく。戦争と家族に対するコラン・パスカリエビチ監督の卓越な考察。
▲アンタレス（Antares、２００４年、オーストリア）〓愛がテーマであると同時に素材であり、登場人物たちの行動までを牛耳る映画。ウィーンの郊外に住むエバ、ニコル、ソニャーを通じて熱情と妬み、暴力が結局は愛のために起きるという点を描き出す。
▲サンティアゴの日々（Days of Santiago、２００４年、ペルー）〓２３歳の軍人サンティアゴ・ロマンは数年間テロ犯と麻薬密売犯たちを相手に掃討戦を繰り広げていたが、リマに帰って来る。サンティアゴはペルー政府の政治的無責任の結果を引き受けた、いわば「失われてしまった世代」の一員。リマに帰ってきた後、彼が目撃するのは敵対と混乱、そして腐敗だ。ロマンは日常生活に適応しようとするが、彼の軍人精神は事毎に衝突をもたらし…。
▲亀も飛べる（Turtles Can Fly、２００４年、イラン）〓イラン映画史上初のクルド族出身監督が作ったクルド映画。米国のイラク侵攻が迫ったといううわさに、サダム・フセインの逼迫を避けて多くの人々がイラクの国境地域に集まってくる。彼らの中には腕を失った少年ヘンゴと幼いときに妊娠した少女アグリンがいる。そこでそれなりの生き方を身につけた「衛星（Satellite）」というニックネームの少年は、アグリンを見て愛に陥るが、アグリンは軍人たちに強姦されて子供まで生んだ悪夢のため、常に自殺を考えている。
▲大地とほこり（Earth and Ashes、２００４年、アフガニスタン）〓孫のヤシンとともに道端に座っているダスタギル。半ば崩壊された橋、涸れてしまった川、土ぼこりが積もった道路のように荒廃したアフガニスタンの風景が彼を囲んでいる。彼は炭鉱で働く息子に、村が爆撃されて家族がみんな殺されたという事実を伝えに行く途中だ。戦争の極悪非道さに直面した人間喪失とヒューマニティに対する寓話だ。
◆家族のための推薦作
▲ラクダの涙（The Story of the Weeping Camel、２００３年、ドイツ／モンゴル）〓ゴビ砂漠に住むモンゴルの羊飼い家族がある日苦境に立たされる。難産をした母ラクダが子をしきりに突き放す。母ラクダをなぐさめて赤んぼうラクダの面倒を見るようにするために、伝統音楽公演まで動員して…。現実とドラマ、魔法が入り交じって、暮しの他の方式と感情の普遍性を読み取ることができるようにする。ルイジ・ファロルニ、ビャンバスレン・ダバー監督。
▲ベアハッグ（Bear Hug、２００４年、台湾）〓ダイジュンは親が離婚した９歳の少年。彼はいとこイペンの世話を受けながら生きて行く。２歳になれば巣立ちしなければならない北極熊のように、果してダイジュンも一人立ちができるのか。アニメーション。
▲梁山伯と祝英台（Butterfly Lovers、２００４年、台湾）〓広く知られた中国民譚である男装した女性祝英台と梁山伯の悲しい愛の物語をアニメーションで作った。女性は教育を受けることができなかった陳王朝、富裕な家の娘祝英台は男装をして学校に通う途中、田舍の平民出身である梁山伯に会って恋に陷る。中国版の「ロミオとジュリエット」。
▲マクダル話２：パイナップルパン王子（Mcdull、２００４年、香港）〓小豚マクダルの観点で話す香港庶民の哀歓と希望。いつもお金に苦しんでいる主婦マクビンは、常に空想に耽っている息子マクダルの面倒を見る。安定的ではない政治状況に不安を感じたマクビンは保険に加入し、米ドル、金、化粧紙、甚だしくは自分の墓の土地まで買い入れる。マクビンは息子のためにパイナップルパン王子である夫に対する話をはじめるし、これを事実と信じたマクダルは旅に出るが…。
▲ブミの冒険（Homeland、２００４年、インドネシア）〓インドネシアの文化と情緒が感じられるアニメーション。嵐の中で船を失ってかろうじて生き残ったブミは他の人々を説得してユートピアンキャッスルを再建しようとする。初めて助けてくれたのは巨大な竜、そして喧嘩好きのボブ族だ。ちょうど１年後、ユートピアンキャッスルは住みやすい所に変わって、ブミは旅行家ニモを紹介されるが、ニモは平和な世界に紛争の種をもたらす。
金甲植 dunanworld@donga.com
About Dong-A Ilbo