政府が7日、野党ハンナラ党議員たちの「国家機密漏えい」論議と関連して、「国家の安危に重要な影響を及ぼす国家機密」の国会提出を拒否したことで、政府と野党間の論争が新たな局面に向かっている。
特に、国政監査の場で敏感な内容の資料提出を政府側が応じないことから、「国家機密」の定義を巡る論議も加熱している。
▲資料提出拒否の波紋〓現行の「国会における証言・鑑定などに関する法律」の第4条第1項は、「国家機関は職務上の秘密に属するという理由で、証言や書類提出を拒否することはできない。ただ軍事・外交・対北朝鮮関係の国家機密に関する事項で国家安危に重大な影響を及ぼす場合には、長官は資料提出の要求を受けた日から5日内に疎明して、資料提出を拒否することができる」と規定している。
政府側の資料提出拒否は、それなりに法的根拠を備えているが、単なる「職務上の秘密」という理由では拒否できない。また、拒否の法的端緒になる「国家安危に重大な影響を及ぼすのかどうか」を判断することも、容易でない問題だ。
ハンナラ党の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員は、「証言・鑑定法は、軍事・対北朝鮮・外交に関する事項に、資料提出拒否条件が局限されている」とし、「これは包括的に解釈されるというよりは、法が明示的に規定した限定的列挙に該当する」と述べた。
機密漏洩論議の当事者であるハンナラ党の朴振(パク・ジン)、鄭文憲(チョン・ムンホン)議員も「忠武(チュンム)計画」「作戦計画5026」などの文書について、「すでにマスコミやインターネットサイトで公開された」と主張した。一方ウリ党は、「両議員が公開した文書は、いずれも2級軍事または国家機密に該当する」とし、「明白な実定法違反だ」とする立場だ。
問題は、国家機密は各等級に従って秘密取得認可権者が決定することになっており、政府の恣意的な判断が可能だということだ。秘密の分類を「国家安全を危険にさらしたり」(1級)、「多大な支障を与えたり」(2級)、「損害を与え得る」(3級)などの抽象的な用語で規定しているだけに、これに対する解釈は多分に主観的となり得る。
▲外国の事例〓8日、政務委の国政監査で、ハンナラ党の権寧世(クォン・ヨンセ)議員は、「公正取引委が要求資料に対して、『独自の保安性審査結果の提出は適切でない』として資料提出を拒否した」とし、「公正委が前日、李海瓚(イ・ヘチャン)首相の機密資料提出関連の言及後、以前よりも資料提出に応じないというものだ」と批判した。
米国の場合、議員たちは米中央情報局(CIA)を含むすべての資料の閲覧が可能だが、これを公開した場合、厳重な責任を問われることになる。01年の同時多発テロから1ヵ月経った10月9日、ブッシュ米大統領は「議員たちが無責任に情報を流出して、米軍兵士たちの命を危険にさらしている」とし、議会への情報ブリーフィングを両党上・下院総務と情報委院長に制限するように指示したこともある。
しかし、国家機密という理由で情報そのものを完全に遮断する事例は見当たらない。崇実(スンシル)大学の康元沢(カン・ウォンテク)教授は、「与野党を問わず、国家のために守ることは守らなければならないという使命感が必要な時と見る」としながらも、「このような状況で政府が、李首相まで乗り出して事実上野党に対して国家機密関連資料の提出を拒否したことは、決して望ましくない」と話した。
尹永燦 李承宰 yyc11@donga.com ddr@donga.com