国民の苦痛指数が8.3で、3年2ヵ月ぶりに最高値を更新した。失業率と物価上昇率を合わせたのが苦痛指数であることをみれば、いまさら驚くことでもないかも知れない。改善の兆しさえ見えない内需低迷と投資不振で、国民はすでに数値より厳しい苦痛に耐えている。
状況がこうなのに、政府与党の関心はもっぱら「改革立法」にのみ注がれているようだ。与党ヨルリン・ウリ党の千正培(チョン・ジョンベ)院内代表は、遅くても11月中には国家保安法、過去史糾明法、言論関係法、私立学校法の処理を終結させると述べた。このため、今月17日に党論確定、20日に確定法案の国会提出など具体的な日程まで明らかにした。しかし、この難しい状況の中で、与党が急ぐべきことは果たしてこれだけなのか疑問である。「改革立法」だけ終えれば、経済もよくなり、国民の苦痛も和らぐものなのか。
11月を期限と定めた理由も、容易に見当が付く。12月に持ち越されると、新年度予算案処理と結びつき、押し通すのが簡単ではなく、来年に見送った場合、選挙法違反で裁判中の議員が多いため、その時まで過半の議席を維持できるかどうか自信がないからだ。
政界はもう「11月激突説」で持ちきりだ。「改革立法」を強行しようとする与党と、これを阻止しようとする野党の衝突が避けられそうにないからだ。政権を握った与党が、山積となっている経済民生懸案はないがしろにしたまま、過去の歴史と理念問題にのみ拘って、国会を空転に追い込んでいけば、これより酷い無駄遣いと旧態はないだろう。与野党の衝突は必然的に社会全体を味方と敵に分けるものだから、その波紋がまたどこまで広がるか懸念される。
そうした状況に境遇しないよう、政府与党は考え直さなければならない。国民意識に対するウリ党の独自調査も、「政府与党が経済外的問題に偏って、庶民経済の苦痛は理解できずにいると国民は判断している」と指摘しているではないか。多数の国民が共感もしない「改革立法」を押し通して、国全体を葛藤と分裂の渦巻きの中に追い込むのではなく、真に国民を平穏で幸せにしてくれる道を示さなければならない。