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[社説]検察総長の「国家保安法廃止への憂慮」も無視するのか

[社説]検察総長の「国家保安法廃止への憂慮」も無視するのか

Posted October. 20, 2004 23:40,   

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ヨルリン・ウリ党の「国家保安法廃止と刑法補完案」に対して、宋光洙(ソン・グァンス)検察総長が迂回的に反対の意思を明らかにした。宋総長は、国政監査の答弁を通じて、国家保安法廃止後に、刑法上の内乱罪で親北朝鮮利敵活動を処罰する場合、「実務上の法的容疑の混乱と異論があり得る」と指摘した。法執行責任者として予想される問題点を事前に明らかにしたものだ。皆が心に留めるべき憂慮である。今後、法案をめぐって野党と交渉しなければならない与党としてはなおさらだ。

しかし、ウリ党は検察総長の憂慮を無視した。ウリ党の千正培(チョン・ジョンベ)院内代表は、「刑法改正案の内乱罪ですべての処罰が可能であるため、問題はない」と主張した。法曹界と学界からも同様の指摘が出たが、答は一様だった。法理的であれ、国民感情であれ、無謀としか言いようがない。

「刑法補完案」は、それ自体が二律背反的だ。北朝鮮が同じ民族であり、交流・協力の対象であるため、国家保安法を廃止すべきだと言っておきながら、刑法には北朝鮮を「内乱目的団体」と規定しているためだ。一言で、本末転倒と言わざるを得ない。特別法である国家保安法システムを一般法である刑法に吸収させることは不可能ということも、共通した指摘である。北朝鮮を前提に作られた国家保安法と外患、内乱などの一般的な場合に適用される刑法は、その性格が異なるということだ。

刑法上の内乱罪の適用も、容易ではない。内乱罪の構成要件は「暴動」が核心だ。国土を侵し、国憲を乱す目的で暴動を起こした場合にだけ、処罰が可能になっている。単なるスパイ行為や称揚・鼓舞、金品授受などは、暴動予備の陰謀が立証されない限り、処罰することは難しい。内乱罪が恣意的に解釈され、法的な安全性を害する危険も高い。

より重要なことは、国民感情と乖離しているという点だ。法は、国民の共感の上に作成されなければならない。80%にのぼる国民は、「国家保安法が過去に人権侵害という副作用を生みはしたものの、国家の安全のためにはなくてはならない」と信じている。与党案には、国民のこのような法意識が全く考慮されていない。

さらに、主務省庁の法務部や検察の意見を、一度も求めなかった。その理由はというと、核心党役員たちが、「協議してみたところで、反対するのは明らかだ」と答えたという。これが国政の責任を共有した政権与党の発言だろうか。国家の安保と直結した重大な事案を扱いながら、主務省庁の意見さえも聞かないのは、重大な職務遺棄と言わざるを得ない。

ウリ党は、「刑法補完案」を来月初めに常任委に上程して、審議に入るという。遅ればせながらの感はあるものの、今からでも主務省庁の意見を尊重することはもとより、野党との対話を通じて、国民の安保不安を払拭させる案を模索しなければならない。そうせずに国家保安法廃止に反対した党役員たちを問い詰め、役員辞任へと圧力をかけることは、改革の名で恣行する独裁に過ぎない。