米大統領選の過程で、民主党・ケリー候補は、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の補完策として「米朝間の直接対話」という案を提案していた。しかし、それに反対したブッシュ大統領の再選が有力視されることによって、6カ国協議の枠組みがそのまま維持される可能性が高くなった。
外交通商部(外交部)のある当局者は「2001年9月11日の米同時多発テロ事件以降、初めての大統領選である今回の選挙で、北朝鮮の核問題は主要争点の一つだった」とし「米国が中止された6カ国協議の年内再開を急ぐ可能性がある」と話した。
▲6カ国協議の年内再開が北朝鮮核問題の分水嶺=ブッシュ政府が6カ国協議を好む理由は△米朝間の対話は結局、北朝鮮の巧妙な対米戦術に巻き込まれる格好になるうえ△周辺諸国の無関心を招き△北朝鮮が核廃棄を拒否し制裁措置が必要とされる場合も多国間体制が効果的、だと判断しているからだ。
そのため、北朝鮮は6カ国協議が「5対1(北朝鮮)」の形で、自国に圧力を加える道具に活用されているとし、不満感を示していた。しかし、北朝鮮は苦手なブッシュ政府を今後の4年間にわたって、相手にせざるを得ない状況に置かれるようになった。田奉根(元統一部長官政策補佐官)平和協力院長は「北朝鮮は、民主党・クリントン政府を相手にした当時はいわゆる『崖っぷち戦術』を活用していたが、共和党・ブッシュ政府がそうした戦術に、超強硬策で臨んだり『無反応』の戦術で一貫すると、それほど効果がないとし、自制している」と話した。
そのため、北朝鮮が「やむを得ず」にでも、6カ国協議の年内開催に同意する可能性があるというのが、政界の見方だ。しかし、北朝鮮が6カ国協議への出席自体を北朝鮮核問題のカードに活用しようとする場合、開催をめぐる「綱引き」が長引く可能性も排除できない。
▲北朝鮮核問題のシナリオと韓国の対応=韓国政府当局者は、ブッシュ大統領が執権・第2期を迎えて、北朝鮮との交渉に臨む姿勢が多少温乾になる可能性はあるが「北朝鮮核の完全かつ早速な廃棄」という目標は変わらないものと判断している。つまり、北朝鮮の核問題に関連して、米国が変わる可能性はほとんどないだけに、北朝鮮が「戦略的決断」を下さなければ、この問題の平和的解決は、容易ではないだろうとのこと。
北朝鮮が2回目の「北朝鮮核危機」の原因になった濃縮ウランを使った核開発計画の存在自体を否認するかぎり、6カ国協議は続けて空回りするはずであり、米国内強硬派が求めている「北朝鮮核問題の国連安全保障理事会への上程」というカードが、いつ強力に動き出すかは分からないということだ。しかし、北朝鮮がリビアのように「核放棄の宣言」という決断を下せば、それに相応する補償問題をめぐる協議が本格化し、状況は正反対に進むようになる。
夫亨權 bookum90@donga.com