郵便箱や電子メールの「受信フォルダ」に送られる迷惑メールは、広告チラシを集めてゴミ箱に入れるか、マウスをクリックして削除してしまえばいい。携帯電話は郵便箱、ファックス、電子メールよりもっと私的な通信手段だ。携帯電話の迷惑電話はプライバシーを侵害し、仕事を邪魔してうんざりさせる。窓を開けておけば凉しい風とともにハエ、蚊も入って来るものだが、携帯電話を通じて送られる迷惑電話はそれらよりもっと迷惑な場合が多い。
◆携帯電話の利用者は仕事に集中しているときに「060」番号で始まるわいせつホンティング電話に出て、うんざりした経験があるだろう。文字メッセージに送られる迷惑メールも大部分セックスに関するものだ。検察がクレジットカード会社と銀行に提供した携帯電話番号や個人情報を不法で買い取り、わいせつホンティング迷惑電話をかけた業者たちを多数拘束したという。青少年に露わにされるわいせつ物も問題だが、迷惑電話は携帯電話の通信網に過負荷を起こす。時を構わず送りつけられる迷惑メールのため、利用者たちが重要なメッセージを適時に読むことができないか、間違って消してしまうこともたびたび生ずる。
◆迷惑メールのために携帯電話の広告全体を禁止してはならないという反論もあることはある。各ダイレクトメール広告業者は携帯電話広告が利用者の料金負担を軽減してくれると主張する。テレビ視聴者や新聞読者が広告によって視聴料と購読料の負担が減るように、携帯電話の広告がそのような機能を果たす時代が訪れると言うのだ。携帯電話の個人化サービスがどの段階まで進むかは予測し難い。しかし携帯する通信手段という特性からして、携帯電話の広告は利用者の選択と同意が必須の要件にならなければならない。
◆米国で迷惑ファックス1件に500ドルの罰金を課す法律が制定されてから、ファックスによる迷惑広告が消えた。米国では携帯電話の迷惑禁止法に反対するダイレクトメール広告業者のロビーが盛んだ。業者たちは携帯電話の迷惑電話が迷惑ファックスのように紙を消耗させず、文字メッセージの場合は受信時間がとても短いという理由をあげる。しかし、忙しい時間に「060」電話をかけるわいせつホンティング業者にはいかなる形であれ責任が問われるべきだ。
黄鎬沢(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com