小学生の時、「世界で一番力の強い権力者」をめぐって友達ともめたことがある。米国大統領、またはソ連の大統領を挙げた子もいたが、結論は「国連事務総長」だった。韓国戦争の衝撃が生々しく残っていた１９６０年代だったから、小学生が国連を強い権力機関に思うのは当たり前な事だった。国連が韓国を北朝鮮の攻撃から救ってくれて、国連を代表する人物が事務総長なので、世界で一番力が強いという論理がもっともらしかった。
◆かつての子供達が思っていたぐらいではないが、国連事務総長は今も世界的な影響力を発揮する。１９１カ国に増えた加盟国、事務局の１年予算が３１億ドル、ニューヨークの国連本部に勤める職員だけでも７５００人の巨大な組織だ。国連事務総長は世界的な名誉も得られる席だ。国連は世界平和のための機構であるだけに、大きな過ちを犯さない限り、非難される理由がない。現総長のアナン氏は、０１年国連事務総長として二度目のノーベル平和賞を受賞する栄光を享受した。
◆羨ましい限りに見えたアナン総長が、このほど窮地に陥った。イラクに生活必需品を供給する国連事業に関わっている会社から、息子が巨額の賄賂を受け取ったという疑惑が提起されたため。アナン総長本人も息子の収賄疑惑を隠すためウソを付いたと疑われている。２期連続して総長になり８年目を迎えている彼に最大の危機が押し寄せたわけだ。イラク侵攻を不法と位置づけたアナン総長を目の上のこぶのように思っている米国では、任期満了前に追い出すべきだという主張が根強い。
◆アナン総長が危機に落ち込むや、アジアが忙しくなった。大陸別に代わりばんこに総長を引き受ける慣例に従い、アジア人が後任になるという期待感からだ。東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）はすでにタイの外務長官を候補に決めた。国内でも「０６年韓国人出身国連事務総長当選に向けた国民運動本部」が結成されて、政府と国会に建議文を出すなど、韓国人総長作り運動を展開し始めた。国連事務総長は総会の選任手続きを踏むことは踏むが、実際には５カ国の安全保障理事会常任理事国が選択する。だとしても総長の世界的な地位を考慮すれば、国レベルで適した候補を選び挑戦する価値はあると思う。
方炯南（バン・ヒョンナム）論説委員 hnbhang@donga.com
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