暮らしの場を完全に失ってしまった露天商は、呆然と空を眺めるだけだった。リヤカーは壊れ、準備しておいた材料はすべて捨て、客もぱったりと途切れた。
マスクをした軍人たちはひっくり返された乗用車を立てなおし、石の残骸に敷かれた人々を運び出す作業をしていた。起重機なしに人の手だけで作業をしているため、進捗状況は鈍かった。わずか数日前まで、韓国人を含む外国人観光客が楽しんでいた浜辺のあちこちに、死の影が投げかけられていた。
浜辺の近くにある「メルディアンホテル」も1階の窓ガラスは全部割れており、野外プールは汚物で溢れている。マネージャーは「水と電気供給が切られ、宿泊客には出ていってもらった」とし「いつ宿泊客を受け入れることができるかわからない」と話した。
津波の被害は海岸にそってひろがっている。パトンビーチ南側にあるカロンビーチ、カタビーチを結ぶ道路は、地震から三日が経っても割れたガラスと波で押し寄せられた浮遊物で、まるでごみ場のようだ。
「カタビーチリゾート」に泊まったスウェーデン観光客アグネタ・グスタプソンさん(52、女性)は、「26日午前10時頃、急に海水が300m以上引いたと思ったら、おびただしい波がホテルを襲った」とし「胸まで水が押し寄せ、波に流されないようにホテルの柱につかまえて堪えた」と話した。29日の出国予定である彼は、出国予定を繰り上げることができず、まだそこに泊まっていた。プーケットで一番人の込んでいる所は病院だった。
26日、ピピ島で負傷した韓国人10余人が入院した「プーケット・バンコクインターナショナル」病院は、収容施設より20〜30%超過した患者を受け入れている状態だ。28日にも急病患者が相次いで運ばれ、ベッドは満席だった。幸いに韓国人負傷者は28日午前、全員退院した。
朴炯準 lovesong@donga.com