韓日条約関連文書の公開は、あたかも「パンドラの箱」を開いているのも同然だ。関連文書57件のうち、わずか5件が公開されたが、どこまで波紋が広がるものか、予測しがたいほどの爆発力が内在されている。
交渉の適切性に関する疑問から、韓国と日本政府を狙った責任追及に至るまで、あらゆる反応が相次いでいる。結論から話せば、今回の文書公開は韓日協定の全ぼうを明らかにする最初の一歩にならなければならない。
そのためには、政府はできるだけ早期に残りの文書を公開し、日本も関連資料を公開しなければならない。それが、両国の悲劇的な過去を遅まきながら片付ける近道である。韓日条約の問題点が確認されたものの、外交的行為を無効化し再交渉を行なおうと主張することはできないだろう。
しかし、時間に追われて拙速に、渡す者と受け取る者の不公平な立場のために屈辱的に結ばれた条約の誤りを補完することはできる。従軍慰安婦のことだけをとっても、条約締結の過程で、両国が議論さえしていなかった日本の戦争犯罪ではないか。国内的には、日本による植民支配時代(1910〜45年)の被害者に対する補償問題を整理しなければならない。
韓国政府が100万人を上回る被害者への報償金の名目として5億ドル(約510億円)の金を受け取った後、死者およそ8000人に約25億ウォン(約3億円)だけを補償した経緯を明らかにし、納得できるだけの対策を提示しなければならない。経済開発のため一銭でも惜しい時期だったものの「(韓国側は)今後いかなる主張もできない」という内容を文書に挿入し、結果的に日本に「包括的な免罪符」を与えた経緯も明らかにしなければならない。
日本もまた、自由にはなれない。日本はこれまで慰安婦たちが求める賠償について「請求権で消滅した」と対応してきたが、、交渉の当時には「賠償ではない経済協力」を強調しつづけていたことが分かった。
日本が、心から戦争犯罪を反省しているのならば、粗末な条約にすがるのではなく、第2次大戦から50年が過ぎたにもかかわらず、ナチス関連者を処罰し、労役に強制的に動員された外国人に賠償を行なっているドイツの先例に従わなければならない。