最近オープンしたソウル江南区(カンナムク)のA美容肥満専門クリニック。
25日、患者控え室はスパ、マッサージ、部分肥満治療など皮膚美容及び肥満に関する広報パンフレットで溢れていた。患者たちは同クリニックの院長が皮膚美容及び肥満専門医であると固く信じていた。しかし、取材陣が確認したところ、同クリニックの院長の専門は神経精神科だった。
ソウル城東区(ソンドング)のB小児科は薬局を彷彿させる。患者控え室の片隅に各種のビタミン剤、健康食品や機能性化粧品が陳列されていた。しかも、小児科には似合わずに「胎盤クリニック」、「アンチ・エージング」、「部分肥満クリニック」なども別途運営していた。
景気低迷により患者数が減ったため、中小規模の病医院を中心に、医者が自分の専門とは無関係な分野まで扱っている事例が増えている。このような診療領域の破壊は、産婦人科→老化防止、歯科→成形外科、リハビリテーション医学科→肥満など、ほぼ全分野にかけて行われている。
▲医院は小さな「百貨店」〓取材陣が確認したところ、大半の医院と一部の中小病院で、内科、小児科など自分の主専門以外に皮膚炎、肥満など、ほぼ全領域にわたって扱っていた。ひどい場合は神経外科、リハビリテーション医学科など、関連の薄い領域まで診療する医院もあった。
診療行為とは無関係なビタミンや機能性化粧品を販売するところも多い。患者控え室に販売台を別途設置しておいて、患者から問い合わせがあれば看護士が製品の説明に当たる仕組みになっている。
最近、歯科を訪れた主婦のチョンさん(42、京畿道城南市盆唐区)は、「歯と骨粗しょう症にいいからと医者に特定のビタミン剤を勧められ、歯科で購入して飲んでいる」と話した。
▲カネになれば専門も換える〓ソウル盧原区にあるC肥満クリニックの院長の専門は元々産婦人科。しかし、少子化の進展と共に患者が減るや、診療領域を肥満に換えた。同クリニックの院長は肥満はもちろん、成形外科で行うような二重まぶたの手術も自らやっている。
他の産婦人科の女医Dさんも、患者が急減するや、専門を成形手術と肥満に切り替えた。現在は、ボトックス注入と腹部脂肪除去を主にしている。
医者が専門を換える分野は、成形手術、肥満、皮膚美容など健康保険が適用されない分野がほとんど。
▲患者に被害はないか〓この傾向に対して医療界の意見は賛否が分かれている。
賛成派はまず、これが違法行為でない点を強調する。ある開業医は「肥満、皮膚美容の治療は易しいため、医者なら誰でも簡単に覚えてすぐ上手にできる。医者間で競争になれば、治療費も下がり、患者にはプラスになる」と語った。
しかし、大型の総合病院に所属する医者の大半は憂慮している雰囲気だ。ある大学教授は「誰でもできるというなら、専門医制度がなぜ必要なのか」と反問し、「不要な医療行為が横行して治療の後遺症が大きくなり、結局そのつけは患者に回ってくるしかない」ち批判した。
金相勳 corekim@donga.com