１１日に封切られる『マバド』は、実は冒険的な映画だ。２０代の観客をターゲットにしているこのコメディー映画の中心は「隣のお婆さん」みたいな中堅俳優たちだからだ。ヨ・ウンゲ（６４）、金ウルドン（５９）、金スミ（５３）、金ヒョンジャ（５４）、そして演劇俳優のキル・ヘヨン（４０）。彼女たちは寂しい島「マパド」の５人の住民である「猟奇的なお婆さん」に扮して、島に流れ込んだごろつきのジェチョル（李ジョンジン）と不正刑事・チュンス（李ムンシク）を、時にはあやして、時には脅かしながら「もてあそぶ」。先月２８日、この５人の俳優に取り囲まれて、インタビューをした。「落ち着いて。私たちお婆さんは女の子（女優）より優しいのよ。監督にも私たちが優しくしてあげたんだから」と言って、かえって記者を励ましてくれた。自分一人が「マパド」に取り残されたような気持ちだった。
「母親級」の俳優が集まっているという事実だけで、楽しいというか、どことなく威圧的だった。日焼けしていた映画の中の姿とは違って、肌は信じられないほどすべすべしているし、強烈で洗練された化粧に華やかな装身具が輝いていた。
「こんなにひどいのはなかったわ。映画にはこんなシーンないんだけど…」。
「最年長者」のヨ・ウンゲが最初に言葉を切り出した。田舎くさいかば色の運動服に鎌を手にした５人のお婆さんの姿を描いた、この映画のポスターが気になる顔だった。本当に彼女はお節介な「フェジャンデク（会長のお宅のお嫁さんという意）」役がお似合いだった。
規律班長の「ヨスデク」に扮した金ウルドンは、さらにムードを盛り上げた。彼女は、「ガソリンスタンドでもらったガムの包装紙にも、映画のポスターが張ってあったよ。まってくもう…。私がいくらブスだからといって…」と笑っては、すぐ息子のソン・イルグク（ドラマ『海神』に出演）を思い浮かべたのか、「私がいくら金斗漢（キム・ドゥハン）の娘だからといって、今度はちょっとやりすぎたかねえ…。（右の拳を威圧的に上げながら）こんな険悪な顔の姑だから、お嫁さんもらえないかも知れないね」と心配した。
悪口屋の「チンアンデク」を演じた金スミが雰囲気をおさめた。「私たちがこれほど駄目になることは、二度とないだろうね。」
「猟奇的なお婆さん」たちのキャラクターは、テレビでお馴染みの彼女ら中堅俳優のイメージをスクリーンに持ってきて「拡大再生産」したものだ。ヨ・ウンゲはしつこいが賢明で、金ウルドンはださいが情が深く、「イルヨンの母」で有名な金スミの口からは今でも「このやろう」が飛び出しそうで、二重まぶたが印象的な金ヒョンジャは無定見でぶりっ子だ。
ヨ・ウンゲは仲間の俳優のキャラクターを普段の姿になぞらえて一言ずつ言った。「金ヒョンジャは往年のセクシースターなのよ。自他が公認する美人だったの。だから『マパド』でも『セクシー』に出たんだし…。金ウルドンは見てればちょっと負担を感じるでしょう（笑）。だから『暴力お婆さん』に扮したし…」。また、「私はかなり知識を持っていそうでしょう（笑）。ハングルも読めそうだし」といって、劇中で字を読む唯一の「知識派」であった背景を説明した。これに対し金ウルドンは、「実は私が一番優しいのに、ビデオ（外貌）と合わないからそうなったのよ」と悔しがった。
李ジョンジン、李ムンシクのような若い俳優との相性はどうだったのだろうか。中堅俳優らは、「それがどうしたと言うのよ」と言わんばかりだった。
「演技の呼吸は彼らが私たちに合わせなきゃね（笑）。お姉さまが５人もいたんだから、頭が上がらなかったの」（ヨ・ウンゲ）。時に、金スミは李ジョンジンが同日入隊したことに触れて、「ジョンジンちゃんは私たちに苛められ過ぎて早く軍隊に入隊しちゃったかもね」と冗談を言いながら、「実は負担になるほど優しくしてあげたのよ」とひそかに言った。
「若い男子俳優」の話になると、おしゃべりの堰が切れる。
「私たちの中の１人が強引に迫ったら、映画がもっと面白くなったはずなのに、若い子に畑仕事ばかりさせてしまったね」（金スミ）。「それは私がやれば良かった（笑）」（金ヒョンジャ）。「年を越えた人間の欲望みたいなものが、もっとはっきり見せられたら良かったのだけど…。もっともっと本音を表現した方が良かったね」（ヨ・ウンゲ）。
実は彼女たちが武器にしているのは猟奇的なキャラクターではなく「チームワーク」だ。金ウルドンは、「若い俳優はスケジュールの調整のため葛藤が多いが、私たちはそんなことがない。全てが心の広い母親の品性のためだ」と話した。彼女たちはマネージャーを介さないで、自分たちで実の姉妹のように随時連絡を取り合ってスケジュールを調整したという。
やや疲れた顔だったが気持ち良い表情でインタビューを終えた彼女たちは「社会面や政治面に『強く』出してくれ」という言葉を忘れなかった。１５歳以上観覧可。
zozo@donga.com
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