地方自治体が静かな「戦争」を繰り広げている。地方に移転する約180の公共機関の中で、「目玉」機関をどれだけ誘致するかをめぐり、各自治体は、国家均衡発展委員会や公企業の労使、政界の間を奔走している。公共機関誘致の成績は、自治体首長の「成績表」という点からも、来年の地方選挙の当落を分ける主要変数となる。
▲誘致合戦〓地方自治体は、売上げや職員規模が大きい韓国電力公社や韓国道路公社、韓国土地公社、大韓住宅公社、韓国ガス公社、農業基盤公社などを狙っている。韓電の場合、職員約2万人、1年に払う税金だけで1000億ウォン台。誘致に成功すれば、地方自治体首長としては「大当たり」というわけだ。
大邱(テグ)市と慶尚北道(キョンサンプクト)は、共同作戦を展開している。両市道は、昨年11月に「公共機関誘致戦略企画チーム」を構成し、先月には「大邱、慶北公共機関誘致推進委員会」(委員長・李ジョンヒョン慶北大学教授)を作って活動中だ。
全羅南道(チョルラナムド)は、地域的な特性を最大限に活かして、農業とエネルギー関連機関の誘致に総力を傾けている。朴鉂瑩(パク・ジュンヨン)全羅南道知事は2日に上京して、成鍫隆(ソン・キョンリュン)国家均衡発展委院長に会い、「全羅南道に農業関連機関だけでなく、情報技術(IT)、生命工学技術(BT)分野の機関を送ってほしい」とアピールした。
慶尚南道(キョンサンナムド)は、韓電や韓国道路公社を主要攻略目標にしている。韓電が慶尚南道に移転しなければならない理由として、「首都圏を除けば、釜山(プサン)・慶尚南道の電気需要が全国で最高であり、電気を生産する河東(ハドン)火力もある」と主張する。
▲基礎自治体も奔走〓韓昌煕(ハン・チャンヒ)忠州(チュンジュ)市長と忠州市の公共機関誘致推進団、洪淳五(ホン・スンオ)企画相談班長ら約10人の忠州市庁公務員は、1月下旬に土地公社を訪れ、朴グァンシク労組委員長と面談した。韓市長らは朴委員長に、「中部内陸高速道路の開通で、ソウルから1時間で到着できるほど接近性がよくなった。東西高速道路が開通されれば、四通八達の交通要地になる」と強調した。洪班長は、1週間後に韓国道路公社のオ・ヒョンス労組委員長にも会って、同様の内容を説明した。
行政都市誘致のために、公共機関移転の対象から除外された忠清南道(チュンチョンナムド)の場合、瑞山(ソサン)市、保寧(ポリョン)市、舒川(ソチョン)郡、唐津(タンジン)郡、泰安(テアン)郡などの行政都市から遠く離れた地域の基礎自治体は、「逆差別」を主張して、誘致戦に乗り出している。
いったん広域自治体が公共機関を誘致すれば、市・道知事がどの基礎自治体に公共機関を配置するのか決定権を持つ。しかし、基礎自治体首長の間でも競争が熾烈で、市・郡・区間の「第2ラウンド誘致戦」が繰り広げられる見通しだ。