韓国が世界の「テスト・マーケット(Test Market)」として浮上している。携帯電話やMP3プレイヤーなどの情報技術(IT)製品が、代表的な例だ。韓国の消費者の携帯電話買い替えサイクルは、世界で最も早い平均18ヵ月で、若者では1年未満もざらである。新しい機種が出ると、何の問題もない携帯を新しいのに切り替えてしまわずにはいられない。米国でさえ「携帯電話に限っては、韓国が最先端先進国であり、米国など第3世界の国だ」という声が聞こえるくらいだ。
◆外車、化粧品、ウィスキーなど高級ブランド品も韓国市場をテスト・マーケットにしている。昨年、トヨタがレクサス「ニューES330」を世界で初めて韓国市場に披露し、BATも韓国市場を通じて、最高級のプレミアムタバコ「ダンヒル・トップリーフ」の発売を全世界に知らせた。最近は、1本(700mL)に170万ウォンもする最高級ウィスキー「ロイヤルサルート38年」も世界で初めて国内でリリースされた。酒に関する贅沢さにおいては、海外のいかなる富豪も、韓国の中産層にはかなわない。
◆ハリウッド映画も、韓国をテスト・マーケットとして活用する。年間1億2000万人の観客が入る韓国での反応が、世界興行の先行指標になるわけだ。昨年、映画『オペラ座の怪人』が米国より1ヵ月先に韓国で封切され、キアヌ・リーブス主演のアクション映画『コンスタンティン』も米国より10日先に国内で公開された。自国映画の映画市場シェアを50%に引き上げた韓国映画ファンの厳しい目線が、ハリウッドに認められていると受け止めたい。
◆このような現象の原因は何なのか。専門家は世界最高レベルのインターネット・インフラと、新製品が発売されるとすぐに製品の長所・短所を鋭く見抜き、ネットに広げる消費者の情熱的な態度をあげている。また、韓国人の民族的な欠陥として指摘されてきた「鍋根性(鍋のようにすぐ熱くなり、またすぐ冷めてしまう性格)」と、「パリパリ(早く早く)」という考え方がもたらした、もう一面の結果だという分析もある。欧州市場なら数年にわたって起こるようなことが、韓国市場では3〜6ヵ月内に起こる。災い転じて福となすように、欠陥も使いようでは長所になり得るのだ。
吳明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com