未来への予測は誤るのが常である。1960年代の人口統計学者たちは、21世紀半ばになれば、世界の人口が250億人に達するものと見通した。天災地変に劣らない「人口爆弾」が、地球を襲うという恐ろしい見通しだった。しかし、人口増加傾向が鈍化し、学者たちは予想値を下げ始めた。150億人、120億人と下げていき、今は90億人まで下がった。女性の初産年齢の高年齢化を予想することができなかったためだ。
◆未来の予測と同様に難しいことは、どんな職業が今後脚光を浴びるかを見通すことだ。中央雇用情報院は、5年後の国内で、社会福祉の法律サービス情報化関連の職業が人気を集めるだろうとの予測を出した。韓国職業能力開発院は、21世紀の有望職種として、金融コンサルティング、デザイン分野を挙げた。興味深いことは、最近の大学の人気学科が、このような有望専攻と一致していないという点だ。医学部や薬学部、教育学部などの就職がいい専攻を好むのは、安全性を第一に考えるためだ。しかし、どれも10年、20年後に卓越した選択になるという保障はない。
◆職業の未来が不安でも、大きな流れはある。「新遊牧社会」の登場で、職場を求めて国境を越えることが増えるだろう。英語は基本だ。人間の寿命延長によって、職業戦線と人生設計に大きな変化がもたらされるだろう。人生の「二毛作」が慎重に取り上げられている。大学を終えて就職し、20年ほど働けば知識が底をつくので、また大学に入学し、新しい勉強をして再就職をすることが、普通になるということだ。
◆古代ギリシア人は、重大事を前にして、デルフォイ神殿を訪ね、神託を求めた。神殿の司祭の予言を聞いて、その言葉に従うのだ。未来の予測が難しいのは、昔も今も同じようだ。この神殿の壁に書かれた文句がまさに「汝を知れ」だった。不確実な職業選択でも、自分の強みを把握することが重要だ。未来とは、固定されたものではなく、人間の挑戦で常に変わるものではなかろうか。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com