金大煥(キム・デファン)労働部長官は、15日の講演で「昨日、国家人権委員会(人権委)が非正規職法案について意見を表明したことは、中立的立場を逸した政治的行為だ。国会で政労使の対話が進んでいるのに、どうして人権委が越権行為をしたのか理解できない」と述べた。
先月にも人権委が「一般職公務員の職級に応じて定年に違いを設けることは、差別行為に当たる」と中央人事委員長に見直しを求めたが、中央人事委員会は直ちに反論し「受け入れられない」の方針を示した。
また、人権委が6日、死刑制度の廃止を求める意見を示したことについて、金昇圭(キム・スンギュ)法務部長官は、「刑罰には教化だけでなく応報の側面もある。命を奪えば命をもって報いなければならないという考えが国民にある」と反対の考えを示した。
小学生の日記をチェックする学校の慣行は人権侵害に当たるという人権委の意見に対しても、教育人的資源部は「日記をつけることの教育的側面を無視した判断」と反論した。
警察・消防・矯正職・少年保護職・鉄道公安職の公務員の採用に身体的基準が適用されていることについての人権委の指摘に対し、警察庁は「犯人の検挙などの警察業務の特性を考えると、身体条件は採用にあたって考慮されるべき肝心な要素だ」と反対の意見を示した。
人権委は15日にも「麻薬や暴力団関係の受刑者に対し、『作業を断らない』という誓約書を強制することは平等権の侵害に当たる」と、その慣行の廃止を法務部長官に勧告している。
さらに、同日「一般の選挙広報に比べ、より多くの分量が必要になる点字の選挙広報について同一の規格制限を適用することは、視覚障害者に対する差別だ」と、国会議長と中央選挙管理委員長に関連法の内容を見直すよう勧告している。
人権委の勧告を該当期間が受け入れない場合は、書面でその理由を説明しなければならないが、勧告や意見表明は法的な拘束力を持たない。
昨年11月基準で、この3年間の勧告受け入れ率は92.2%に上っているが、同委員会の関係者は「人権教育のような比較的負担の少ない事柄に関する勧告を受け入れることが多い」と話した。
国家保安法の廃止勧告や、公共機関の閉鎖回路(CC)カメラ等無人警備システムの設置・運営に関する政策勧告などは、まだ受け入れるかどうかの回答が示されていない。
人権委は勧告に対する該当期間の措置期限を明示していないため、勧告を受け入れるかどうかの考えを無期限に明らかにしなくても問題にならない。
そのため人権委は、現在国会にかかっている人権委法に該当機関による回答の措置がない場合、過料を課したり勧告に対する反応期間を60日に制限したりすることなどを検討している。
一方、政府機関の反発について同委員会の鄭康子(チョン・ガンジャ)常任委員は、「国家人権委員会は原則や方向のガイドラインを提示する役割を担っており、細かい内容は該当機関で決めるべきだということが人権委の基本的立場だ」と述べた。
別の関係者は「国家機関が口をそろえて同じことを言っていることが、はたして正しいのか考えるべき時期に来ている。人権委は人権という観点から与えられた道を進むしかない」と話した。
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