ワタリガニ漁のシーズンになった。ワタリガニは韓国、中国、日本に分布し、産卵シーズンは6、7月だ。甲羅はひし形で、さはみは長くて大きい。ワタリガニのキトサン成分は、抗がんと老化防止に効果があるとされて、ウェルビーング(well−being)食品に挙げられる。毎年この時期には、延坪(ヨンピョン)島付近の漁民たちは、北方限界線周辺の北朝鮮と中国の船のワタリガニ漁で神経を尖らせている。その分、韓国海軍の警戒も厳しくなる。すでに二回も「ワタリガニ戦争」が起きたところだ。
◆海軍は、まず北朝鮮漁船がワタリガニを追って南下するのを防ぐ。6年前の延坪島沖での交戦は、まさに北朝鮮漁船と警備艇が北方限界線を侵犯して深くまで南下してことに触発された事件だ。2002年ワールドカップ競技のときの西海交戦も、北朝鮮のワタリガニ漁船を警備していた北朝鮮艦艇が境界線を越えてまで南下し、銃撃戦になった。韓国海軍は、韓国漁船が過度に北上して操業するのも阻止しなければならない。中国漁船が我々の領海にまで入って操業するのを防ぐのも任務だ。
◆中国漁船の出現は、ここ数年間で目だって増えてきた。南北が操業許可を制限し、気を使っている間、中国の漁船は1日300〜1000隻が押し寄せて「漁夫の利」を狙っている。中国漁船の操業で、西海5島のワタリガニ漁獲量は激減している。漁民たちは「中国の船は禁漁期にも、ワタリガニから雑魚まで獲りまくって、網には何も引っかからなくなった」と訴える。漁民たちは、「こういう有様だから、操業許可海域ではワタリガニが獲れない。漁撈限界線を越えてまで網を投げるしかないのだ」とも話している。
◆中国漁船の不法漁撈で裁判も開かれている。昨年、延坪一帯の漁民たちは、政府の取り締まりに怠慢があるとして、300億ウォンの損害賠償を起こした。漁民らは、今年「中国政府が自国漁船のワタリガニ漁を規制しなかったため、被害を被った」として、駐韓中国大使らを相手取って、879億ウォンの損害賠償請求訴訟をソウル中央裁判所に提起した。必死で自分たちを守ろうとしているのである。今度は政府が不法漁撈の規制に乗り出す番だ。ワタリガニのために韓中関係が悪化すれば、ワタリガニ以上の費用を払わされることになる。
金忠植(キム・チュンシク)skim@donga.com