行淡島(ヘンダムド)開発事業とロシア油田開発事業をめぐる疑惑はどちらも解消されていない。大統領府は監査院による行淡島関連調査が進行中のなか、あわてて釈明したが、前後の辻褄の合わない釈明が疑問をさらに広げている。検察は油田疑惑の背後に対して、「司法処理の排除」を示唆しているが、その意中がさらなる疑惑を呼んでいる。
大統領府は先週末、文正仁(ムン・ジョンイン)北東アジア時代委員長と鄭泰仁(チョン・テイン)国民経済諮問会事務次長に対する電撃的な辞表受理の理由について、「2人の行淡島開発支援が適切でない職務行為だったので」と説明した。北東アジア委が行淡島事業を西南海岸開発(Sプロジェクト)の試験事業として間違えて認識し、同事業を推進する過程で、特定人(金ジェボク行淡島開発社長)に過度に依存したという批判も相次いだ。
しかし、大統領府は当初、「行淡島事業を大統領府が支援したことがある」とし、「西南海岸開発のために、シンガポール資本誘致を推進した」と明らかにした。このため、先月11月、首脳会談で盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がシンガポール政府に協力を要請し、親書まで送ったという。
前後の事情がこうだから、大統領府が急いで北東アジア委に全ての責任を転嫁するのは釈然としない。監査院の調査が終った後、辞表を受理するかどうかを検討するとしたが、その翌日立場を変えたのも疑問だ。しかも、北東アジア委が昨年、Sプロジェクトと重複されるという理由で全南海南(チョンナム・ヘナム)に建設中の海軍潜水艦通信所建設の中断を要請したという事実も明らかになっているが、はたして北東アジア委の単独決定だと信じてよいのだろうか。
油田疑惑の捜査の場合、検察は李光宰(イ・グァンジェ)議員と李基明(イ・ギミョン)氏を召喚調査した後、「現在としては司法処理の可能性がない」という話を流している。調査過程で明らかになった事実のみを見ても、李議員は油田開発を実務的に推進した韓国クルードオイル(KCO)前代表の全大月(チョン・デウォル)容疑者や海外に逃避した許文錫(ホ・ムンソク)容疑者らといくつかのルーツで関わっていたこん跡が明確だ。李基明氏に対する検察の調査方式も「特別」だった。
なのに検察は世論の推移を見守りながら、前建設交通部次官の金世浩(キム・セホ)氏を拘束起訴で捜査に見切りをつけようとしている。これでは検察は、国民の信頼を得難い。監査院も同じだ。行淡島疑惑の調査に監査院の名誉をかけなければならない。