▲事件の経緯〓ソウル市内の学園財団所有主である李某氏は2001年12月当時、NABソウル支店資金部次長の崔某氏(39)から「わが銀行にお金を預ければ他の銀行より高い金利とともに特別優待金利も与える」という話を聞いて、2003年4月まで565億ウォン余りを定期預金の名目で崔氏に任せた。
しかし、崔氏は同金額を銀行に預金せず、個人的に株式と先物、オプションなどに投資して計515億ウォン余りを失った。
崔氏はこの過程で、NABソウル支店で李氏のお金を受け取る一方、支店長の実印を偽造して李氏を騙した。また、李氏が一部定期預金に対して途中で解約意思を示すと、それを直ちに返済しもした。
崔氏の詐欺劇は2003年5月、李氏所有の学園財団の税理士が、NAB名義の源泉徴収領収証が偽造だという事実を見つけて、発覚した。
▲裁判所の判決〓ソウル中央地裁民事12部は2月4日、李氏側が崔被告とNABを相手に出した損害賠償訴訟で「崔被告は443億ウォン及び遅延利子を、NABはそのうち360億ウォン及びそれに対する遅延利子を、崔被告と連帯して賠償せよ」と判決した。裁判所はNABの賠償額のうち、3分の2に対して仮執行することができると付け加えた。
裁判所は、NABが崔被告の使用者として事務監督を疎かにした責任は兔れがたいとの判例を示した。
NABは1審判決に抗訴し、強制執行中止の申請を出しており、ソウル中央地裁民事13部は供託金53億ウォン余りを出す条件でこれを受け入れた。
▲問題点〓NABは、社員たちに破格の退職慰労金を払ってソウル支店を閉鎖する方針であることが、先月国内のマスコミで報じられた。
NABソウル支店の関係者は「遅くとも年末までに業務を片付け、韓国から撤収する」と話した。
このため、李氏側は判決が確定しても、損害賠賞金をもらうことは難しくなることもあり得る。
NABの国内資産が残っていなければ、オーストラリアでNAB本社を相手に別途訴訟を提起しなければならないからだ。
ソウル高裁のある判事は「法律体系は大部分自国民中心なので、外国で国内裁判所の判決がそのまま執行されることは難しい」と話した。
裁判所がNABの強制執行中止申請を受け入れたことに対しても論争が起きている。判事出身のある弁護士は「判決の賠償額に遥かに及ばない金額を供託させただけで、強制執行中止申請を受け入れたのは異例だ」と話した。
これと関連して、金融監督院の関係者は「NABが国内で債券・債務関係をすべて整理しなければ、閉鎖許可を出さない方針」と話した。
鞖克仁 全芝星 bae2150@donga.com verso@donga.com