北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官は8日、北朝鮮入りして取材中の米ABCテレビ局とのインタビューで、北朝鮮が核兵器を追加で製造していることを明らかにした。
金次官は「現在、さらに多くの(核)爆弾を製造しているのか」というABCテレビ局の記者の質問に「そうだ」と述べた上で、「米国の攻撃から北朝鮮を防御するのに十分な核兵器があるが、具体的な保有量は秘密だ」と話した。
金次官は、北朝鮮の長距離ミサイルに核弾頭を装着できるかについては、「北朝鮮の科学者は世界的なレベルの技術を保有している」と話した。しかし「米本土を打撃できるミサイルを保有しているのか」との質問には「米国を攻撃する意図がない」と明言した。金次官は、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の北朝鮮側首席代表を務めている。
▲なぜ、この時点か〓北朝鮮が核兵器を追加製造している事実を米マスコミを通じて繰り返し主張したのは、11日の韓米首脳会談で、北朝鮮に不利な形で核問題解決の方向が固まらないようにする狙いがあるものと受けとめられている。すなわち、核保有国の北朝鮮に対する軍事的圧迫は、米国にとっても大きな負担になる、との点を警告しようとする意図と言える。
また、時間が米国や韓国の味方ではないことを強調することで、韓米同盟の亀裂を図る戦略に出た、との見方もある。
外交安保研究院の金聖翰(キム・ソンハン)教授は「外交的解決が遅れれば遅れるほど、北朝鮮の核兵器保有量は増えつづけるはずで、その責任は米国側にあるというメッセージを投げているものだ」と分析した。
北朝鮮がABCテレビ局を平壌(ピョンヤン)に招いて、米国の茶の間に向けて、明確なメッセージを伝えたとの点も、こうした見方を裏付けている。
▲何を狙うのか〓北朝鮮は核実験を行わずに核保有国の地位を認められたい、との点を基本的な目標に定めたものとみられる。北朝鮮は今年2月10日に核兵器保有を宣言して以降、米国の圧力に対抗して核兵器の保有量を増やす措置を取っている、と主張しつづけてきた。
北朝鮮は3月31日には、6者協議を核保有国の米国と北朝鮮の軍縮会談にするべきだと主張したこともある。北朝鮮が核兵器保有国であることを強調しているのは、6者協議が、北朝鮮を除いた5ヵ国が北朝鮮に核放棄を迫る様相に展開されるのを阻止するためとみられる。
また、米国と対等な立場から二国間協議を通じて、「核兵器の放棄」を、韓国に対する米国の「核傘」政策の中断や在韓米軍撤退などに結びつけようとする意図もあるものと分析される。
成均館(ソンギュングァン)大の金泰孝(キム・テヒョ)政治外交学科教授は「核保有国として国際社会の公認を受けたいというのが、北朝鮮が究極的に目指しているものと判断される」と話した。
權順澤 taewon_ha@donga.com maypole@donga.com