「なぜ今さら?」
鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官が20日、「北朝鮮と米国が国交正常化すれば、長距離ミサイルを廃棄する」という金正日(キム・ジョンイル)北朝鮮総書記の発言を、後になって公開し、その背景が注目されている。
「米朝国交正常化」という条件付きではあるものの、ミサイル問題のような敏感な発言を、17日にあった金総書記との会談から3日後に発表したためだ。
同日、一緒に明らかにした「東海(トンヘ)線連結の提案を白紙の状態から見直す必要がある」、「金剛山(クムガンサン)観光の手続き緩和の要請」といった金総書記の発言もその意味は小さくない。このため、政界では「剥けば剥くほど新しい中身が出てくる」として、鄭長官を「玉ねぎの皮」に比喩している。
鄭長官は公開が遅れたことについて、「重要な発言が多かったため、まとめるのに時間がかかった」と釈明したという。
与党ヨルリン・ウリ党の田炳憲(チョン・ビョンホン)スポークスマンは「ミサイル廃棄の発言などは金総書記との単独会談の場で出た話ではなく、昼食中に出た話だったため、17日の帰国後のブリーフィングでは公開しなかったと聞いた」と伝えた。
しかし、鄭長官がまだ公開していない話はまだいくつか残っている、というのが大方の見方だ。実際に、ウリ党との懇談会で「金総書記からハンナラ党の朴槿惠(パク・クンヘ)代表に対する個人的な挨拶と言及があった」と話した鄭長官は、それに先立って行われた朴代表との電話の中で「金総書記が朴正熙(パク・ジョンヒ)元大統領について、独裁の話には触れず、いい話ばかりしていた」とし、余韻を残した。
これに対し、ハンナラ党は不愉快な反応だ。朴代表は同日の常任運営委員会で「北朝鮮問題で最も重要な一つは透明性だ。国民も知らない合意があってはならない」と強調した。
朴代表は「(国民の知らないことを)野党の代表だからといって聞く必要はない」として、最初は鄭長官との会合を断り、電話でしか話していない。
これに対して、一部では大統領選挙の与党候補に取り沙汰される一人として、「金総書記との会談プレミア」の時効を延ばしたいという、鄭長官の政治的な考慮があるのではという観測も出ている。
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