仏教の最初の経典であるスッタニパータ(経集)には、「親が老衰しているにもかかわらず、扶養せずに自分だけ豊かに暮せば、破滅に至るだろう」という仏様の話が出る。最近の言葉に解釈すれば、生活能力のない親に小遣いをあげなければ地獄に落ちるという話だ。この数年間、続く景気低迷で地獄に落ちるだろう親不孝行者が増えていると言う。
◆カトリックの老人虐待予防センターには、物理的虐待よりは経済的虐待を訴える年寄りが多いという。生活能力のない親に最小限の生計費を送らないこと、親名義の財産を密かに盗み出してそっぽを向くことなどが代表的だ。扶養の義務を疎かにする子を相手に親が訴訟する事例も多い。去年、おじいさんの李某氏は息子がくれる月30万ウォンの小遣いでは生計を維持することができないとして扶養料請求の訴訟を出した。裁判所は、息子が扶養義務を果たせなかったとして息子所有の不動産7000万ウォンに対する仮差し押さえの決定を下した。
◆しかし、社会・経済的環境の変化は、親への扶養責任を子に押し付けにくくしている。平均寿命が増えて早期退職で老年期がますます長くなり、子の親への扶養負担が急激に増えているからだ。大部分の子は親を心配するが、親の扶養には厳しいのが現実だ。老人問題は家族だけの問題だけではなく、社会問題になってから久しい。結局、政府が年寄りの社会保障に積極的に乗り出さなければならない。米国も年寄りに支給される移転支出が連邦政府予算の20%を超える。
◆統計庁の家計収支の調査によれば、今年第2四半期の移転所得は12万4000ウォンで第1四半期の12万7700ウォンに比べて3%減少した。移転所得の70%以上は子が親に送る生活費だと言う。景気の低迷で生活が厳しくなり、親への小遣いも減らしたのだ。問題は私たちの経済の成長潜在力が落ち、政府の年寄り扶養能力が減少するという事実だ。国民すべてを親不孝行者にせず、政府は成長中心の政策で経済を立て直す責任がある。
林奎振(イム・ギュジン)論説委員mhjh22@donga.com