農業基盤公社は5日、幹部クラスの33人で構成された会議で、シニアーコンプレックス造成事業を進めた場合、莫大な早期投資額が必要となり、毎年大幅の運営赤字まで抱えるのは必至であるとし、国庫支援がない限り事業の推進は無理という暫定結論を下した。
公社側は当初4地域であった事業対象地を1ヶ所に絞ってモデル事業を展開することを検討する一方、25日理事会を召集し、事業を進めるかどうかを最終決定することにした。
▲経過〓昨年12月、農業基盤公社は忠清南道舒川郡(チュンチョンナムド・ソチョングン)、全羅南道淳昌郡(チョルラナムド・スンチャングン)、谷城郡(コクソングン)とシニアーコンプレックス造成事業推進了解覚書を締結した。以後、了解覚書の締結対象に江原道寧越郡(カンウォンド・ヨンウォルクン)が加わった。続いて今年5月、保健福祉部(福祉部)は舒川、谷城、全羅南道鎭安郡(チンアングン)、寧越の4ヶ所を農漁村複合老人福祉団地造成事業対象地域として選定した。
農業基盤公社と福祉部の案は、淳昌と鎭安が取り替えられた以外は変わらないもので、事実上同一事業も同様なわけだ。
大統領諮問農漁業・農漁村特別対策委員会は7月14日、農漁村複合生活空間造成計画に福祉部の事業計画を含めて大統領に報告した。
▲事業内容〓老人福祉団地には、団地ごとに60歳以上の隠居の身の生活を送る150世帯が入居することになっている。事業費は団地あたりの土地購入費と住宅建設費を含め、平均280億ウォンがかかるという。このうち、35億ウォンは福祉会館などの建設費名目で国庫から支援され、残りは該当自治体が農業基盤公社の投資を誘致して充てる計画だ。
農業基盤公社は、これまで入居世帯(2人基準)から入居敷金として2億3000万ウォン(退居の際、返還)と月90万ウォンの管理費(食費含む)を受け取り、2億4000万ウォンの投資費(20年後消滅)と月20万ウォンの管理費を徴収方策として策定し、妥当性を検討してきた。
▲事業断念の理由と見通し〓米国など欧米諸国とは違って不動産所有へのこだわりが強い韓国では、巨額を投資して田舎の賃貸住居団地に入居する希望者は多くないだろうという向きもある。
また、老人福祉費と管理費が次第に増える見通しであるため、所詮国庫支援のない事業推進は成り立たないという結論を下したという。
農業基盤公社は、これまで同事業を農村の活性化と引退層の安らかな老後設計という公益事業の一環として進めてきたが、ほかの政府投資機関や民間企業の中から、損害を承知の上で同事業に打って出るところがあるかどうかは不透明だ。
これに対し、福祉部老人支援課の宋仁洙(ソン・インス)事務官は「農業基盤公社が投資をすると聞いている。農業基盤公社が投資しない場合、国民年金や民間企業を投資対象者として誘致するつもりだ」と語った。
しかし、舒川郡の社会福祉課のカン・シンファ係長は「もし、公社側が見切りをつけるならば、事業推進へのメドは立たなくなる」と話した。
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