「魅力」の辞書的な意味は、心を惑わして惹きつける力だ。漢字で「魅」は、人を魅惑するという意味である。明確な概念規定が難しい文学的な表現である。
政治外交学や経済学、社会科学を専攻した9人の著者は、このような人文学的な表現を韓国の未来国家戦略の次元の概念として新たに規定しようとする。それは、一国家の軍事力と経済力をハードパワー(hard power)とし、その国家が持つ感性と文化倫理などをソフトパワー(soft power)として規定した米ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授の国際政治概念を、韓国的現実に、クリエイティブに適用しようとする試みだ。
「ソフトパワー国家論」は、基本的に世界支配戦略のレベルで取り上げられたものだ。したがって、韓国の国家戦略にすぐに適用するには、無理がある。著者たちは、このような苦悩から、ハードパワーを実力に、ソフトパワーを魅力という概念に切り替えようとする。2つの概念は、対照的だが、相互補完的だ。実力の土台のない魅力は空虚であり、魅力が加味されない実力は、無味乾燥だからだ。
著者たちの関心は、実力を土台とし、これをさらに効果的に発揮させる魅力の条件を見つけ出すことだ。その事例研究として提示されるのが、「韓流」と「ITコリア」である。韓国が、アジア大衆文化市場で大きな力を発揮し、情報技術強国として評価される理由は何か。
韓流の底力は、△韓国的な感性、△躍動的な国民気質、△豊かな文化原型から出たという分析だ。
ITコリアの神話は、△国家と企業の有機的なネットワークでできた国家革新体制(NIS)、△「製品の感性化」を追求した韓国企業の独特のマーケティング戦略の成果と分析される。ここで、魅力の構成要素として、相手の気持ちを心で受けとめる「心力」と理性に訴える「知力」が導き出される。
また、米国や日本、中国という隣国を分析した事例も多くの示唆を与えてくれる。米国は、強大な実力を裏づける魅力の要素を喪失しており、日本は、魅力的な国家になろうとする涙ぐましい努力が効果をあげていない。中国は、十分な実力の支えがないが、△西欧でもなく先進国でもないという点、△強大国でも弱小国でもない弱大国という点で、独特の魅力の要因を追求している。
confetti@donga.com