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孔子以降、大思想家が生まれないのはどうして? 書評「醜い中国人」

孔子以降、大思想家が生まれないのはどうして? 書評「醜い中国人」

Posted August. 23, 2005 03:28,   

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◇「醜い中国人」

ボヤン作・金ヨンス訳/356頁/1万5000ウォン/チャンヘ

患者:検査結果が出ましたか。

医者:ええ。肺病3期のようですね。咳も酷いし…。

患者:本当におかしいですね。さっき先生も咳をしていましたね。それも肺病なんですか。医者:それは違いますよ。

患者:何が違うと言うんですか。先生は私たちと血統が違うっていうことですか。

医者:そんなこと言われると困りますよ。夜は熱もあるし…。

患者:先生こそそんな言い方は困りますよ。扇風機も夜遅くまで付けっぱなしにしとくと、

熱が出るから、それも肺病ということですか。

医者:喀血の症状もありますね。

患者:歯科で治療を受けている人も口から血が出てたんですが、その人たちも肺病3期に

なるんですね。

医者:もちろんそれは違いますね。

患者:分かりました。百歩譲って、肺病だとしましょう。ところで、それの何が問題だと

言うのですか。どうして僕にのみそんな酷いことを言うんですか。僕が何か憎たら

しいことでもやったんですか。

医者:それは誤解です。

患者:誤解ではないでしょう。僕は最初からあなたのことを見破りましたよ。早くから母

親に死なれて、家庭の温もりなんかは知らずに生きてきたでしょう。中年の時は強

姦事件で刑務所にも入れられて。それで、深い恨みを持って、人が幸せな様子は我

慢できないっていうことでしょう。恥ずかしくもないのか。

この本は中国人の一番痛い所を突き刺さる。中国人の骨まで染みている儒教文化の名残を伝染するウィルスに位置づけ、中国、中国人の恥部を容赦なく露にする。著者によると、中国人は自分の過ちや弱点を認めようとしない。実際のことを言っているのに、相手が自分を攻撃していると考える。ひとにらみしただけでも、刀を手にしてかかってくる。「今、政府を転覆させようとでもしているのか」とまで考える。

著者はこうした醜い根性が儒教文化から端を発していると見ている。どういう言葉であり、書き物であっても、師匠の教えから外れてはいけないという師承の足かせが、中国人の考え方や想像力をミイラのように乾かせてしまったということだ。

孔子以降2000年が経ってからまた数百年が過ぎているのに、中国はたった1人の思想家も輩出させていない。この深い池、この死んでいる水がまさに中国文化の瓶だ。瓶からする臭いが中国人をまことに醜くて、偏狭にしてしまった。もし、阿片戦争が起きていなかったら、中国はまだ弁髪をし、纏足から脱していないはずだと、著者は指摘する。かえって阿片戦争が300年だけ早く起きていたならば!

1984年、米国の大学で講演した内容などをまとめたこの本は、翌年出版されるや否や全世界の中国人の争点になった。中国人の価値体系がこのように極烈な破裂と挑戦にさらされたことはかつてなかった。為政者はもちろん、急進的な学生さえ著者の瓶文化論に真っ青になった。

1949年国民党の軍隊が敗退した後、台湾と中国を行き来しながら中国文化の病理現象を分析する新聞コラムや評論を絶えず発表してきた著者。彼は1968年、人民と政府の感情を挑発したという罪状で投獄されたこともある。彼の毒説は中国全土を揺さぶった。5・4運動当時、魯迅がいたとすると、1980年代中盤にはボヤンがいた。原題は「醜陋的中国人」



keywoo@donga.com