『ベルサイユのバラ』。30代以上には忘れられない、思い出の純情マンガだ。
1980年代に海賊版で国内に紹介された『ベルサイユのバラ』は、池田理代子の日本マンガが原作。マニアたちが「『ベルサイユのバラ』を通じてフランス革命を学んだ」と言うほど、18世紀フランスの姿をよく描いている。豪州出身の王妃マリー・アントワネットと近衛大将である男装の麗人オスカルが主人公。ここにフェルゼン伯爵、庶民出身でオスカルの影となって付き従う侍従アンドレが登場して、4人の男女の恋物語がフランス革命を背景に繰り広げられる。
思い出の『ベルサイユのバラ』がミュージカルとして舞台に上がる。日本の代表的な文化商品である女性歌劇団「宝塚」が初めて韓国公演をし、自分たちのヒット作を公演する。11月11日午後7時半の初公演に続いて12、13日午後3時と公演が続く。慶煕(キョンヒ)大学ソウルキャンパス平和の殿堂。5万〜12万ウォン。ハングル字幕あり。問い合わせは02—2113—6856。
●女性の、女性による『ベルサイユのバラ』
韓国では「宝塚」という名前はそれほど知られていない。1914年に創立された宝塚は、男性俳優が女性役まで演じる歌舞伎とは反対に、女性俳優が男性役まで演じる。所属俳優は400人、スタッフだけで100人にのぼる中小企業規模の劇団。宝塚は俳優が結婚すれば退団しなければならないルールがあって、団員400人全員が未婚女性である点も特徴。
合わせて五つの組から構成されており、このうち「星組」が韓国を訪れる。各組ごとに男女主演の俳優は固定している。男性役を演じる女優は声も男性的だ。
国内でも女優だけで構成された「女性国劇」が一時人気を享受したが、今は名前を維持しているだけのとは違い、日本の宝塚は厚いファン層を確保しており、高い人気を得ている。日帝強制占領期である1940年、宝塚が一度韓国で公演をしたが、光復(日本から独立)以後は初めての公演だ。何回か韓国公演が推進されたが、15億ウォン(3日間公演基準)に達する製作費用のためにいつも宙に浮いていた。今年は「韓日共同訪問の年」を迎えて、両国政府の支援を受けて実現した。
●マンガ対ミュージカル…「アントワネットバージョン」で舞台公演
『ベルサイユのバラ』は1974年の初公演以来、今まで356万人の観客を動員した宝塚の看板レパートリーであると同時に空前のヒット作。
宝塚の『ベルサイユのバラ』には二つのバージョンがある。一つはマリー・アントワネットとフェルゼン伯爵の愛を主として展開する「アントワネットバージョン」。もう一つはオスカルとアンドレの愛を大きな軸にした「オスカルバージョン」だ。
今回、国内で公演される作品は「アントワネットバージョン」だ。もちろん、このバージョンにもオスカルとアンドレは登場するが、周辺人物として出る。『ベルサイユのバラ』と言えばオスカルを一番先に思い浮かべるほどオスカルの人気が絶対的であること勘案すれば、「オスカルバージョン」に対する惜しさは残る。もちろん、男性主人公のフェルゼン役は、「オスカルバージョン」でオスカル役を演じた宝塚スター、湖月わたるが演じる。
マンガは主人公たちの幼い時代から始まるが、ミュージカルは成人になってから描かれる。マンガには宮廷の暗闘や当時の政治状況、革命に至るようになる過程なども描かれるが、ミュージカルは徹底的に男女の愛の物語にだけ焦点を当てている。
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