本当に胸の痛む事件だ。あってはならない事故だった。慶北尚州市(キョンブク・サンジュシ)で一昨日発生した「MBC歌謡コンサート」の公演場で多くの市民が死亡した事件は、人災という言葉を抜きにしては説明のしようがない。行事の主催側と行政当局の安全不感症が市民を生き地獄に追い込んだ。なのに関連機関は責任のなすり付け合いに汲々としている。
今度の事件は分別なく目前の利益のみを追いかける社会の総体的な水準を丸出しにしている。行事の企画と代行契約、現場での進行を見るに、不都合とミスだらけである。何より尚州市が大型公演を主管する能力のない社団法人国際文化振興協会というところに行事を任せたことからが間違いだった。地方の祭りは地方自治体の広報手段であるだけで、従って手続きはどうでもいいという姿勢と、行政の不手際が災いをもたらした。しかも、問題の協会の会長が尚州市長の親戚だというから、行事の委託過程について疑惑を抱かざるを得ない。
行事費用を見ても納得し難い点が一つや二つでない。国際文化振興協会は尚州市から行事費として1億ウォンをもらったが、コンサートの製作コストとしてMBCに1億3000万ウォンを支払うことで約定したという。事情がこうだから、最初から安全問題に気を使うはずがない。国際文化振興協会が何を狙ってこうした「赤字行事」を進めることにしたのか、その理由を突き止めなければならない。
警察とMBCにも責任がある。1万名が集る大規模行事にも関わらず、現場に30人の警察しか配置しなかったのは、警察の判断ミスだ。MBCは行事の主催側から番組制作を依頼されてそれに応じただけだと釈明しているが、現場進行の責任を免れることはできない。製作コストとして1億3000万ウォンをもらう「営業行為」をしていながら、観客の安全については無視をするのは望ましくない。
当局は死傷者への補償や治療など事態の収拾に万全を期し、責任者に対しては厳しく罰しなければならない。それが後進国型の事故を防ぐ道でもある。選挙運動の手段として先を争って地方の祭りを開いてきた自治体の長にも、警鐘を鳴らす必要がある。