新しくオープンした国立中央博物館に、観覧者が殺到している。開館初期の一時的な現象だけではなさそうだ。世界6大博物館に数えられるアジア最大の規模であり、快適な野外公園を備えていることが、人気を呼んでいる。復元された清渓(チョンゲ)川とともに、ソウル江北(カンブク)地域に活気を吹き込む役割を果たすものと期待される。しかし、補完されるべき点も、すでに現れている。
◆地下鉄を出て博物館につがなる連絡路が狭く、混雑している。一日5000人しか利用しなかった地下鉄の駅に、急に数万人の観覧客が殺到するようになったにもかかわらず、何の対策もたてていなかった。博物館前の狭い道路は、増えた交通量を消化するのには力不足だ。壮大で美学的に建てられた建物に比べて、周辺の交通インフラと観覧客を迎える態勢は不十分だ。
◆新しい博物館は「新しい概念」である。800席規模の専門公演場を建物の中に設置して、「博物館」と「劇場」の結合を試みた。このような形態の博物館は、世界的にも珍しい。伝統的な博物館は、歴史遺物を時代別に集めた厳粛で単調な雰囲気だった。米国のスミソニアン博物館は、自然史、航空宇宙など、多くの博物館を一つに集める方式で、観覧客を引きつけるのに成功した。日本の東京国立博物館は、上野公園の中に国立西洋美術館、動物園とともに位置し、休息と文化空間の役割を同時に演じている。
◆博物館側の運営戦略は、博物館の沈んだ雰囲気を劇場の活気ある雰囲気と調和させ、活性化させるという意図に見える。静かであるべき博物館の観覧環境を害するという反対意見もある。しかし、人が訪れない博物館は「死んだ」博物館に相違ない。博物館の形態は、固定されたものではない。多くの人がともに見て楽しむ方向で、進化してきた。龍山(ヨンサン)国立中央博物館を見に訪韓したフランス人のギ・ソルマン氏は、「生きている博物館になること」を注文した。運営の妙を活かさなければならないが、新しい博物館の実験に対する最終評価は、観覧客たちが下すだろう。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員chansik@donga.com