「この世で一番美しい言葉は何だと思いますか?それは『私』だと思います。私がいてはじめて家庭もあり、幸せもあります。私がいてこそ、自分も輝き、強くなれるのです。けがをしてから感じたことです」
「リングは世界だ」「必勝・全勝・圧勝」といった言葉が掛けられているリングサイドで、彼はよく動かない左手を握ろうとしながら話した。彼にボクシングを習いにきた他の格闘技ジムの現役トレーナーたちが激しい息づかいで、トレーニングに励んでいる。
ボクシングを基本にした総合格闘技の修練を標榜する「チーム・フェニックス」の「首将」朴ヒョンソンさん(37)。首将とは、監督兼選手を意味する。
全身やけどで1級障害者の判定を受けた彼は、総合格闘技のミドル級で活動して引退したが、最近、立ち技系格闘技のKOMA大会でヘビー級にウエイトアップして挑戦した。79kgの彼は、自分より体重が20kgも重い選手をダウンさせるなど、判定勝ちでベスト8入りを果たした。
12月にベスト8による決勝トーナメントを控えた彼は、「年も年だし、どうせならチャンピオンに挑戦したい」と述べた。
アマチュア・ボクシングの韓国代表だった彼は、1992年、不測の事故でやけどを負い、車椅子に頼る生活を余儀なくされたが、27回の手術と4年間のリハビリの末、立ち直った。
絶望の中でも彼は、「自分を輝かせるのも、自分を最悪に導くのも、すべて私」と悟ったという。自分を輝かせたい気持ちは、強くなるという意志につながった。強くなるために、自分にできる一番のことを見つけた。リハビリ後、1997年からボクシング・トレーナーとなり、03年からは、国内で総合格闘技大会がスタートすると、各種試合に出場した。
彼は、なかなか握れない左手を使うために、多様な技を工夫し、それをもとに、ボクシングと格闘技の技を組み合わせ、「拳道」を考案し、最近特許を申請した。
やけどの激しい下半身は、殴られたら痛みがひどい上、よく化膿する。彼は、この試練やリングでのつらさを乗り越えるために、「ボクサーの魂」を強調する。「拳道をもとに、日本やブラジルの格闘技流派をつくるために、リングの上ですべてを燃やしたいです」。
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